【主語+動詞を押さえておけば間違いなし!ネットで評判の中国語教材の実践例を解説】
本ブログでは、既に 「【網野式】動詞フォーカス中国語入門」、「学習効果が高い中国語教材おすすめランキング:中国語学習で迷ったらこれを買おう!初級・中級者篇」で網野式動詞フォーカス中国語入門について紹介していますが、今回は、実際に動詞が分からないと中国語が読めない、理解出来ない(逆に言えば動詞が分かれば中国語が読める、理解出来る)ということが、どういうものかを実際に確認してみたいと思います。そのために、まずは本ブログでシリーズもので取上げているニュースで学ぶ中国語No6のトイレ革命の記事から事例を取上げていきます。
まずは同記事の2段落目から見ていきましょう。
※本ブログでは「把」を英語同様に、使役動詞として扱います。一般の中国語文法では介詞と呼ばれています。(把を辞書でひくと、表示致使,后面的动词带有表示结果的补语・・・なんて書いてあるので、結局英語で言う第5文型の使役動詞と変わりません。中国語の先生も気を利かせて、介詞という分かり難い表現はやめて英語の使役動詞だと一言で言って欲しいものです。)
・・・,不但景区、城市要抓,农村也要抓,要把这项工作作为乡村振兴战略的一项具体工作来 推进,努力补齐这块影响群众生活品质的短板。
・・・, bùdàn jǐngqū 、 chéngshì yào zhuā , nóngcūn yě yào zhuā , yào bǎ zhè xiàng gōngzuò zuòwéi xiāngcūn zhènxīng zhànlüè de yī xiàng jùtǐ gōngzuò lái tuījìn , nǔlì bǔqí zhè kuài yǐngxiǎng qúnzhòng shēnghuó pǐnzhì de duǎnbǎn
まずは赤字の動詞部分に注目します。その上で、少し分解してみます。知識のある方であれば、不但~也が英語で言えばNot only~but alsoに対応する構文であることも見抜けると思います。
不但景区、城市要抓,
农村也要抓,
要 把这项工作作为
乡村振兴战略的一项具体工作来
推进,努力补齐这块影响群众生活品质的短板。
観光地、都市が(動詞=抓=取組む)だけでなく、農村も(動詞=抓=取組む)
(使役動詞=把)このプロジェクトを+(動詞=成=成す)農村振興戦略の一つの具体的なプロジェクトとして+(動詞=来=のような方式でする)+(動詞=推进=推進する)、この民衆の生活の質に影響する欠点を熱意をもって+(動詞=补齐=補う)+(※助動詞=要=~すべき)である。
※努力=動詞とみても問題はない。一般的な解釈では動詞の前の「努力」=一生懸命に、という形容詞(連用修飾語)とされている。動詞と解釈する場合は連動文になり、「・・・努力し、補うべき」という訳出になる。文法より、自分が感じる脳内の処理の仕方を重視していきましょう。
【最終的な日本語はこうなる】
観光地、都市部、農村部に関わらず、すべての場所で、農村部振興のための戦略的で具体的なプロジェクトとしてトイレ革命を推進して行き、人々の生活の質を向上させる上で不足している部分を補うよう努力する必要がある。
【直訳と比較してみよう】
先日のニュース記事では、文法法則に則り、ある程度の意訳をして掲載しています。(これは恐らくどの教材でもあまり変わりません。)理由は、上記の分解で分かる通り、中国語の構造が英語と極めて似ていることもあり、直訳すると不自然な日本語になってしまうので、例えば動詞が2回出現する部分を、まとめて全体の意味として異ならないように訳出しています。本当に直訳するならば、
観光地、都市が(トイレ革命に)取組むだけでなく、農村も(トイレ革命に)取組み、このプロジェクトを農村振興戦略の一つの具体的なプロジェクトとして推進し、この民衆の生活の品質に影響する欠点を熱意をもって補うべきである。
という風になります。
※本文中の「努力」を形容詞でなく動詞と捉えるならば末尾の文は、「努力し補うべきである。」と訳出される。
【本ブログ運営者が感じる多くの中国語学習や教材に関する問題点】
以上、英語であれば、大学入試の時に当たり前のように、英文解釈の授業や教材等で一度は経験する複雑な長文の構造の解析について、中国語学習では経験する機会がほぼありません。多くの学習者にとって、中国語は第二外国語であり、場合によってはそれも関係なく「辞令:中国駐在を命じる!」と言われる社会人も多いことでしょう。中国語教材においては発音を重視するあまり、逆に上記に関する説明がほぼ皆無であり、更に彷徨える中国語学習者を増やしている原因の一つではないかと考えています。というのは、中国語の中級の教材等を見ると、一通り文法や文型の説明等はあるものの、テキストが仮に長文であったとしても、掲載されているのは意訳(日本語として自然にするために、途中過程の分析や、日本語では不自然に思われる繰り返し登場する動詞や、その他の単語を訳出時に省略したもの)だけであり、これでは、一度も深く(英語の難しい文章をしっかり構造解析して読む勉強という意味での)語学を勉強したことがない人や、中国語の動詞の重要性を一度も意識したことがない人が、正確な文章の解析と理解をすることはほぼ不可能ではないかと考えてしまいます。(勿論、プロの翻訳者に、そのような滑らかな日本語に翻訳する技術が、必要であることは言うまでもなく、それを全否定するものではないです。あくまでも、学習者にとって必要なプロセスをここでは論じています。)
つまり、色々と批判をされている日本の(英語の)大学入試ではあるけれども、短めの会話文ならいざ知らず、こうしたごく普通のニュースのレベルの長文でさえ、中国語の初中級者にとって本当に理解するのは骨が折れる作業であり、ここで、難関校、国立大学の大学入試等に登場する長文読解や、英文解釈の知識や経験は必要であり、中国語学習においても同様に役に立つということが分かるかと思います。恐らく、こうした問題意識を持たないまま、、曖昧な理解で中国語学習を進めてしまうケースも多く、それが彷徨える中国語中級者を増やしている一因ではないかと考えています。(勿論、かっての英語の大学入試が批判された理由の一つに、和訳ばかりでは読むスピードが遅くなるので実践的でない、過度に難しい学術文書に偏っている、会話が全然出来ない、リスニングが出来ないという問題があることは事実で、本ブログ運営者はそれは当然の前提として認識しています。)
【本ブログ運営者が推奨する解決策】
さて、中国語を聞き取ることが仮に出来たとして、スクリプト(文章)を見ても中国語の意味がやや曖昧で分からない場合、どうすればいいか?この問題の解決策は極めてシンプルです。文章の中にある動詞をマーキングしてしまうことです。そして、なるべく直訳を心がけるようにしてみて下さい。その訓練を繰返してみて下さい。上述の中国語における「努力」という単語のように、動詞か形容詞か分からない場合は、取り敢えず動詞として捉えていきましょう。把や用のような介詞とされる単語も動詞として考えていきましょう。(勿論、ケースバイケースですが、多くは動詞として捉えて差し支えがないことが分かります。)その他の色分け、マーキングや記号(△〇◇等)の付け方については、品詞毎に自分のやりやすい方法を決めていくとよいでしょう。
【例】
要发扬 钉钉子精神,采取有针对性的举措,一件接着一件抓,抓一件成一件,积小胜为大胜,推动我国旅游业发展迈上新台阶。
yào fāyáng dìng dīngzi jīngshén, cǎiqǔ yǒu zhēnduìxìng de jǔcuò , yījiàn jiēzhe yījiàn zhuā , zhuā yījiàn chéng yījiàn , jī xiǎo shèng wéi dà shèng , tuīdòng wǒguó lǚyóuyè fāzhǎn mài shàng xīn táijiē 。
【最後に】
以上、実際の中国語のニュースや文章から動詞を見つけ出すことの重要性を解説致しましたが、もし、皆様が、初級・中級者の段階にあるのでしたら、以下の【網野式】動詞フォーカス中国語入門 を購入することを本ブログでは推奨しています。詳細は、当該教材制作者による説明をご確認下さい。
カラーで分かり易く解説。出典:【網野式】動詞フォーカス中国語入門