シリーズ:中国現地採用で人生をやり直す その2・日本語教師 M.Aさん(女性・30歳)「コロナ禍の真っ只中でも就労ビザが取れた!逆境でこそ火がつく、思い立ったら即行動!」

SNSを活用して情報収集、大学院進学で日本だけじゃできないキャリアアップを目指す!

このシリーズ「中国現地採用で人生をやり直す」では、現地採用で人生を変えた若きパイオニア達の経験をシェアして頂き、皆様のモチベーションアップ、情報共有、そして新たなライフステージへの進軍!!のサポートをしていきたいと思います!!

第2回は、山東省の日本語教師、M.Aさんの体験談です!!(*^^*)今回のキーワードは・・・

モヤモヤと現状維持を選択するより、後悔の無い人生へ一歩踏み出すチャレンジを

中国語を学んだきっかけ

私は大学時代の専攻が英語と中国語でした。もともと第一希望ではない専攻でしたが、英語以外の言語もやってみてもいいかもしれないと思い、中国語の勉強を始めました。

 

大学一年生の間は、中国語に対して好きという感情はさほどなく、ひたすら授業を受けて教科書の単語や文法を覚えていただけでした。しかし、二年時の中国語留学から、中国語学習に対する情熱が一気に湧きました。

 

大学の学部のカリキュラムで、二年時は英語留学と中国語留学ができるようになっており、私は2019年の春学期にニュージーランドのリンカーン大学、秋学期に中国の北京語言大学に留学に行きました。

 

北京留学開始から1週間後、学校の中日交流会で日本語専攻一年生のQちゃんという女の子に出会いました。交流会終了後、お互いにWeChatを交換してやり取りしていたら、Qちゃんのほうから「ランゲージパートナーになってくれませんか?」と言ってくれました。

(イメージ図、AIで作成)

その日以降、私の留学期間中はほとんど毎日彼女と中国語・日本語で交流していました。Qちゃんのおかげで、私の留学生活はとても楽しく、留学後も中国に戻ってまた会いたいという気持ちを強く持ったことで、中国語の勉強もますます頑張れるようになりました。

 

留学したきっかけ

中国留学を終えてから、頭の中はずっと就活のことでいっぱいでした。中国に行って、私が素敵な中国人の友達と出会えたように、たくさんの日本・中国の学生たちに同じようなことを経験させてあげたいと思い、中国で日本語教師になりたいと思うようになりました。

 

北京留学中に同じクラスだった友達が「三年生からでも日本語教員養成課程履修できるらしいよ」と教えてくれて、もう迷わず進むしかないと思いました。


「中国で日本語教師になる!」という夢を実現できたのも、周りにそう言いふらしていて言霊(ことだま)になったからかもしれません。

今でも不思議ですが、私は大学四年時、周りが就活で忙しそうな様子を見てもまったく動揺せず、「自分は中国で就職するから、落ち着いて時を待とう」と言い聞かせていました。


「新卒じゃ……厳しいと思いますよ。」

(参考:『就労(Z)ビザとは?』過去の講演資料から運営者が抜粋)


この言葉を聞き、実際に中国での就職活動を始めたのは2022年1月、大学卒業間近の頃でした。日本語教育の授業でお世話になった先生がOBOGとのオンライン同窓会を開いてくださり、先輩の日本語教師の先生方に言われた言葉でした。

その先輩方の中には、2005~2007年頃に大学卒業、その後中国の大学で日本語教師をされていた方がいらっしゃいました。十数年前の事情と今では異なる部分も多いので、私も覚悟していましたが、やはり新卒で(二年以上の就労経験なしで)の就職は難しいと言われてしまいました。

しかし、そのような状況で逆にやる気に火がついた私は、とりあえず行動してみようと思い、過去に対面やオンライン教師会で知り合った中国の先生方やWeChatのグループに日本語教師ができる学校を探していると連絡しました。自分でも驚きましたが、結果、三人の先生が連絡をくださりました。

 

そのうち最も連絡が早くつき、本当に渡航できそうだと思った山東省の某大学の先生に履歴書を送り、面接して、「ぜひ来てください」といういわゆる内定をもらいました。

やはり、思い立ったら周囲の環境や心無い一言を気にせずにまずは行動してみるものだなあ、と思いました(*^^*)

 

しかしそれでも中国での海外就職は就労(Z)ビザ手続きで色々と手間取ることも多いため、内定をもらってからも実際にビザが取得できて渡航するまでは毎日ドキドキしていました。

 

2022年7月末、内定先の大学の国際交流課の先生が突如、「二年以上の就労経験がないと工作許可が下りない」と連絡してきた時は、予想していたこととはいえ正直焦りました💦しかし私が教員免許証中学・高校の英語の教員免許を持っていたため、そのビザ申請に必要な就労経験が免除されたのです….

私が体験した就活プロセス
  • 2022年2月 中国の大学の先生方に日本語教師の求人について連絡
  • 2022年3月初旬 大学の先生方とオンライン面接(日本語+中国語)、内定をもらう
  • 2022年収3月中旬~ 就労ビザや渡航に必要な資料を収集
  • 2022年7月末 大学から工作証などのビザ申請に必要な書類をもらう、ビザセンターで申請
  • 2022年8月下旬 中国に渡航、コロナ隔離(ホテル7日+自宅3日)を経て、授業開始

※大学は8月末~9月初旬に新学期が始まるので、学校側が日本人が足りず至急呼びたい場合以外は基本第一学期始業の8月末~9月初旬または第二学期始業の2月中旬~3月初旬ごろから勤務開始になると思います。

(2022/08/29 関空での搭乗待ち、期待と不安で胸がいっぱいでした)

大学の日本語教師の経験

私は大学時代に英語の教職課程と日本語教員養成課程を履修しており、またオンラインで中国人学生に日本語の会話授業も定期的に行っていたため、授業の流れや雰囲気はある程度想像できているつもりでした。

しかし、現地に着いて授業を始めたら、想像とは全く異なりました。驚いた点は以下の二つです。

 

クラス編成と授業内容

私が一年目に担当していたのは、大学生の学部1、2年生の日本語会話授業、そして3年生の・説(shì tīng shuō 視聴後に話す活動を行う)と異文化コミュニケーションの授業でした。

各クラス20~30人で、過去2年間はコロナで日本人教員が現地に戻れず、ずっとリモート授業だったそうです(入国後の隔離措置やリモート授業は今となっては懐かしいですね)。

私が授業を始めると、どのクラスの学生も大体2、3人は日本語がとても上手で、私の日本語をクラスメートに中国語に通訳してくれたり、よく私の質問に日本語で回答してくれたりしました。

日本語レベルは学年のみならず、クラスの中でもかなり差があるようでした。というのも、高校から英語の代わりに日本語を勉強し、大学受験を日本語で受けてきた学生たちもいるからです。

 

特に顕著だったのは、22級(22年8月入学)の学生たちと23級(23年8月入学)の学生たちです。それ以前は一クラス20人で、そのうち4、5人が高校から日本語を勉強してきていましたが、22年級は日本語既習者30人で一クラスが編成できるほど、そして23級は7~8割が既習者でした。

 

私が授業で求められていることはAll日本語で学生たちとたくさん会話することなので、基本的な日本語と身振り手振りで授業をしていましたが、よくできる学生に飽きさせないこと、そしてそうでない学生に自信をつけさせることを日々試行錯誤しながら授業していました。

【授業の様子、中国のテレビ番組で取材されました!(編集の都合で音声無しでスミマセンm(__)m)】

 

 

中国の学生たちの雰囲気

対面授業初日から、中国の学生たちの雰囲気に圧倒され、日本の学生と全く違うなと感じました。初日の朝、同僚の先生に案内してもらい教室に着くと、もう既にたくさんの学生たちが待機していました。

 

後ろのドアから入ると、座っていた学生たちが私のほうを向き、何人かが立ち上がって私のところまで来てくれました。「先生かわいい~」「写真撮りましょう!」と言ってくれて、とても可愛いなと思いました。

(イメージ図、AIで作成)

授業をしていていつも感じることは、①明るい、②積極的、③思いやりがあるの三つです。

「誰か発表してください〜」というと、「はい、先生!」と元気よく発言して披露してくれます。教師の日やお正月、私の誕生日にお祝いのメッセージを送ってくれます。また、日常生活で困ったことがあれば、いつもすぐ駆けつけて助けてくれます。とても友好的に接してくれていて、私も学生たちのことが大好きです。

(2024.12.25 「クリスマスはどう過ごしますか?」午前会話の期末試験終了後、毎週一緒に食事する学生たちと麻辣烫 má là tàng)

 

楽しかったこと

中国での現地就職を果たしてから、私は次の目標に向かって話していました。それは….

私が中国に留学に来て素敵な中国人の友達と出会えたように、たくさんの日本・中国の学生たちに同じような経験をさせてあげたい

私は大学時代のサークルの仲間や後輩たち、日本の関西の大学生に募集をかけて、毎学期最後の授業はZoomで中日交流会を開催しました。

新卒で日本語教師としての経験のわずかな私にとって、日本の友達を呼んで交流会をすることが唯一自分にできることであり、私にしかできない武器だと思っています。

2022年11月から2024年6月までの間、6回開催し、約250名いる私の学生たちに対し、合計100人以上の日本の学生が参加してくれました。

 

会を重ねるごとに自分の学生たちの意欲も上がり、日本の学生たちにも好評で、最後の交流会は「中国側2人:日本側1人」での交流が実現できした。司会や準備を積極的に頑張ってくれた私の学生たち、いつも貴重な時間を割いて参加してくれた日本の学生たちには本当に感謝しています。

 

辛かったこと

正直なところ、仕事上で辛かったことは何一つ思い浮かびません(≧▽≦)いつも周りの同僚の先生方や学生たちによくしてもらっていたおかげです。

 

強いて言えば、急な変更に臨機応変に対応することです。渡航前や昨年中国国内で転職した際には、手続きの過程で急な依頼や変更があり、とても不安な日々でした。

 

あともう一つ、ここまで触れてこなかった日常生活についてお伝えしたいです。

それは、言葉の壁です。中国では地域によって方言が様々です。2023年1月、冬休み期間にある友達の西北地域の実家に1ヶ月ほど泊まりました。その友達も、周りの家族たちも、誰も日本語ができない環境でした。


「我们这样说话,你能听懂吗 wǒ men zhè yàng shuō huà,nǐ néng tīng dǒng ma (私らこうやって話してて、聞き取れる?)」と聞かれ、
「听不懂 tīng bu dǒng (聞き取れない)」と言うとみんな笑ってくれました。
「哦娘娘 ó niáng niang(おーにゃーにゃー:驚いた時や「よいしょ」のような感じの言葉)」と現地の言葉を真似して使うと、褒めてくれました。

(イメージ図、AIで作成)

始めはそのやり取りでみんなが笑うからよかったものの、徐々に何か愚痴を言われているかもしれないという不安感を持つようになり、また自分がいつまで経っても聞き取れず情けなくなり、3週間過ぎた辺りに一度大泣きしました。

 

結局、その後は少しは聞き取れるようになり、友達や家族たちもとても親切に接してくれたおかげで、そのような感情は無くなりました。ちなみに、今私の町の大学で留学している日本人学生や駐在員の方と会った時にも、中国語が全く進歩しなくて自暴自棄になったという話を聞きました。やはり誰しもが経験することなんですね。

(2023/01/20 甘粛省の農村生活3週間目。家族と一緒に畑に行ったが、自分だけ手伝えることがなく、一人で散歩。)

中国就職までにやるべきこと

もちろん中国に行くので中国語は勉強しておいたほうがいいですが、それ以外にもいくつかやるべきことはあります。今回は、誰にでも共通してやるべきことと日本語教師としてやるべきことの二つを紹介します。

 

 

このブログをご覧になっている方にとっては当たり前かもしれませんが……ブログ、InstagramやX (旧Twitter) 、Tiktokや小红书 (RED) を通して、自分の興味のある中国の情報を収集しておくことです。

私が渡航した2022年8月頃はまだコロナ禍で、渡航前のPCR検査、現地での隔離が必要でした。

どこで検査を受けるか、現地到着後はどのホテルで隔離するのかなど、わからないことだらけで不安でよくXを見ていました。今ではコロナもなく、中国で仕事をする人も増えて、渡航前後に関する情報はすぐ見つかると思います。ただ、それだけでなく滞在先の地域に関する情報も、調べておいたほうが良いと思います。

 

中国では、北京や上海、広州などの大都市には日本人が多くいて、日本人コミュニティも大きいです。しかし、私のいる都市は日本人が少なく、SNS上でも情報がほぼなかったため、現地の日本人の集まりを探すのに1年半もかかりました。

 

このようなことから、私もInstagramやXで現地の情報の投稿を始めました。昨年(2024年)9月にお会いした日本人の先生から、「InstagramでMさんの投稿見てました!フォローしてます!」と言われました。

 

正直つまらない日常もよくつぶやいていたので少し恥ずかしかったですが、見てくださった方々にとって笑いと安堵が届けられたのではと受けとめて、今後も続けて発信と情報収集を続けていきたいと思いました。

 

日本語の授業で使える素材集めをする

ここからはちょっと日本語教師としての内容に特化してしまいますが、教材や学生との交流の際に引き出しがたくさんあると良いと思います。

引き出しとは、話のネタになる素材の収納箱のことです。なんでもないような日常生活に、実は授業のネタになるような素材はたくさんあります!

例えば、今朝食べたご飯。ごはんとみそ汁を写真に撮っておくだけでも、授業で関連の話題が出た時に「日本の伝統的な朝ご飯はこんな感じですよ~」「お茶碗や箸はこうやって並べます。中国ではどうですか?」というように学生たちと会話できます。

(日本語教師にとって日本の国語の教科書はよくお世話になる必須アイテムです!)

 

私の知り合いの先生の中には、よくWeChatのモーメンツで日本の写真と文章を投稿している方がいます。大学の夏休みや冬休みに日本に帰省した際に、よく外に出て素材を集めているとのことで、私もこれから見習いたいと思っています。

 

 

今後の進路、やってみたいこと

私はこれまで2年間中国の大学で日本語教師の仕事をしてきましたが、自分の学生たちを日本人と交流させることが、見ていてとても楽しくやりがいを感じます。今後も自分から学生を集め、日中の学生の交流活動を継続的に行っていける場所を作っていきたいです。

そして、私がいつかその場所を離れても、学生たちが自ら活動を続けて後輩たちに受け継いでいってもらえるようにしたいと思っています(*^^*)

 

また、進路としては、来年(2026年)以降は中国の大学院に進学して外国語教育に関する知識と経験をより深めていきたいと思っています。

大学の日本語教師の仕事を始めてから、授業以外にスピーチコンテストや作文コンクール、卒業論文の指導などもさせてもらうことが増えました。

 

(2024.12.07 北京外国語大学にて行われた「国才杯・全国大学生外国語スピーチコンテスト」。日本語部門に出場する修士2年生の引率員として同行)

 

しかし、私自身は中国語スピーチコンテストや作文コンクールの経験は1回のみで、論文指導も経験が乏しいことから、これから学生の指導をしていく中で知識や経験を増やしていき、指導教員としてより自信を持って指導していけるようになることが課題です。

中国で就職したからプラスになったこと

中国に来てから積み上げた日本語教師としての経験と交友関係の広さが、大変プラスになっています。私は中国に来てから、日本ではできないような経験をたくさんさせてもらっています。様々な大学の交流会、学術講演会に参加したり、司会者として日本語や日本文化に関するイベントを開催させてもらったり……

 

おかげさまで自己成長につながる貴重な経験や新しい人たちとの出会いで溢れています。その経験や人脈のおかげもあり、私は昨年7月末に転職し、同じ都市内の別の大学に赴任できました。何よりも、これまで構築してきたコネクションは今後中国での生活においても日本に帰っても自分の武器になると思っています。

 

中国で暮らすことのメリット(日本と比べてこんなところが良い!メディアが伝えないリアルな声)

一昔前とは違い中国の治安は相当良くなっており、かつて日本のメディアでよく目にしたネガティブな報道がもう思い出せなくなるほど、私はネガティブなことを体験していません。

確かに、カエルやウサギの肉、セミなど日本で食べない珍物が売っていたり、夜市で偽物のドラえもんやルイヴィトンの鞄を見かけたりしますが、自分に合わないものは手をつけず笑って済ませられます。大気汚染に関しては、年々少なくなってきており、改善しているなと感じます。

(ちゃんと正規の版権物はあるし、ルイ・ヴィトンの偽物だって見分け方があるらしいです💦)


そして、中国で暮らす上では治安面も大事ですね。中国と日本の関係が傾くと、周りの中国人に暴力や暴言を浴びせられたりしないか……と、私の親や地元の友達はよく心配して連絡をくれます。地域によっても異なるかもしれませんが、私はそのような被害を直に受けたことはありません。

 

話は変わりますが、実は私、現地の公式メディアから現地で働く外国人としてインタビューを受けました!

今回、皆さんにこの場を借りてお話をしようと思ったのは、中国人に向けてお話をした

当然、中国のオンライン上にその動画がアップされましたが、応援コメントの中にいくつか私自身には関係のない日本の悪口が書かれていました。しかし私は見ず知らずの人の言葉であまり傷つくことは無く、

「そんなに嫌いな日本人の動画でもわざわざ最後まで視聴してくれてありがとう!!」

とさえ言いたくなるほどでした!(^^)!

 

日本人の中にも時々やたらと反中、反米のような投稿をSNS上でしている人を見かけますが、何故かそういう人に限って面と向かってとなると何も言ってこないですよね?

それと同じかな?と思って、最近はあまり過剰に一部の中国人からのアンチコメントが気にならなくなりました。

 

最後に一言

私は中国で仕事をしてまだ2年半ほどですが、今後も長期間中国での生活を続けていくつもりでいます。

来たばかりのころと比べればだいぶ中国での暮らしにも慣れてきましたが、やはり心の中では自分が外国に住んでいること、普通の日本人とは違う生き方をしていることに得も言われぬ不安に襲われることもあります。

それでも、日頃から一緒に授業をしている学生や同僚、周囲の友達と一緒に過ごしながら、これから日本へ行ってみたいと思う中国人、そして中国語を勉強している日本人のために自分には何ができるか、それを考えながら毎日を過ごしています。

また、今まで見られなかった中国の良い側面が見えて、また自分の考えが変わるかもしれません。ぜひ今後も自分から発信していけたらと思います。

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