
前職での経験がきっかけに、語学スキルをプラス
このシリーズ「私の中国留学体験記」では、中国留学によってステップアップ、または新しいステージに立っていく人達の経験をシェアして頂き、皆様のモチベーションアップ、情報共有、そして新たなライフステージへの進軍!!のサポートをしていきたいと思います!!
第3回は、上海の留学生、S.Nさんの体験談です!!(*^^*)今回のキーワードは・・・
やっぱり海外生活にチャレンジして正解!チャンスを逃さず素早くアクション、ステップアップへ一直線!!
中国語を学んだきっかけ
私は高校卒業後、大学進学をせずに18歳で社会人になりました。
高校卒業後すぐに勤めたIT系の会社はあまり性に合わず、転職を経て東京のとあるクリニックに就職。4年間汗水流して働きました。そこで初めて仕事の厳しさ、やりがいを知り、仕事に慣れた頃には常にどうしたらもっと患者さんに寄り添えるかを考えながら行動していました。
そのクリニックの近くに偶然日本語学校があり、まだ日本語の拙い外国人の患者さんも数多く診察していました。
(イメージ図、AIで作成)
その中で特に多かったのが中国人です。(在日中国人は788,495人。出典:出入国在留管理庁『令和5年6月末現在における在留外国人数について』 )
英語が話せない方も多く、紙に漢字を書いたり、ジェスチャーや翻訳アプリを使ったりして、なんとか意思疎通を取っていました。
そんな忙しい毎日の中で、ある中国人の患者さんが頻繁にいらっしゃる様になりました。その患者さんは日本語が全く話せず、いつも不安げな表情をしていました。
何度目かの通院でお越しになったある日、私は彼女に拙い中国語で「请您等一下。qǐng nín shāo děng yí xià. (少々お待ちください)」と言ってみました。その瞬間、患者さんの顔色がぱぁーっと明るくなり、とても嬉しそうにしてくださったのです。その光景は今でも鮮明に思い出すことができます。
(イメージ図、AIで作成)
その体験から、海外生活で心身ともに不安な方を助けたい、もっとコミュニケーションをとりたいという思いを持つ様になり、中国語を学ぶ事を決意しました。
留学時代、留学したきっかけ
元々海外での生活に興味があったので、ひとまず1年間の語学留学をしてみようと思い至ります。
留学について調べる過程で中国政府奨学金という返済不要かつ生活費、住居費支給という至れり尽くせりの奨学金がある事を知り、この奨学金を勝ち取って絶対に留学に行くんだ!と決意を固めました。
しかし、中国語をまともに勉強したことない私は、奨学金応募必須条件であるHSKを取得しておらず….
そこから1ヶ月は慌てて猛勉強!!勢いに乗ってHSK3級と4級の同時受験に挑みました。結果は3級はほぼ満点、4級も230点程度での合格でした。
⇩HSKについては下記を参照⇩
中国語の資格で転職、キャリアアップへの第一歩を!(^^)!HSKって何?!実は中国語の資格はこれさえ取っておけばOK!!
しかしこれが良くなかった、「私意外とできるんじゃん♪」と調子に乗り、それからは中国語学習は段々と疎かになり、仕事と遊びに没頭する毎日でした….
さて、奨学金の書類選考も無事通過し、トントン拍子で面接本番、緊張しつつもHSK4級を1ヶ月で合格した自信が当時の私にはありました。
しかし、面接で中国語での質問を受けた際、他の受験者はスラスラと中国語で応答するのに対し、私は聞き取りもほぼできず撃沈。私の自信は過信であった事、言語習得の道は甘くないことを実感し、悔しさと情けなさで涙を流しながら帰路に着きましたorz…..
- 前年の12月 必要書類を準備、郵送
- 1月 合格者には面接通知
- 3月頃 書類選考合格後、面接
- 7-8月頃 面接合格通知を受け取り
- 9月より留学開始
※毎年細かい差異があるので、詳細は必ず公式サイトをご参照ください。
留学生活の様子、経験
しかし私がこの体験談を書いているという事から、皆さんお察しの通り無事奨学金を取得する事ができました。
最初に受け取った通知は補欠合格でしたが、無事繰り上げで合格との通知をいただき、1年の留学を開始できる予定…
でしたが、時は2020年、新型コロナウィルスが猛威をふるい、現地での留学は叶わず、オンラインで授業を受ける日々を過ごしました。
(イメージ図、AIで作成)
現地での留学が叶わず毎日パソコンに向かって中国語で話しかける悔しさ、何より自分の中国語が下手である悔しさをバネに、ご飯を食べる時間以外は勉強に励む毎日を過ごしました。
私自身の努力と、オンライン留学受け入れ大学の先生方のご指導の甲斐あって半年程度でHSK6級を取得しました。
※半年でHSK6級を取得したのは凄い!!
新型コロナウィルスが収束する様子もなく、この1年間で中国渡航が叶う可能性はほぼゼロに等しい事を察した私は、HSK受験とともに今度は本科生志望で奨学金選考に臨みました。結果は合格(*^^*)
中国行きの航空券を手にするまでは今しばらくの時間が必要でしたが、1年間の語学留学と違い、4年間上海の大学生として勉学に励む権利を手にしたことで、期待は高まるばかり。
それからの数年間、日本でも中国語を使用できる環境にいたいとの思いから、学業と並行して外国人旅行者が訪れるクリニック、中華料理店でのアルバイトにも励みました。
努力の甲斐あって、クリニックの患者さんや料理店のお客様になんとか中国語でご案内ができるようになるまで成長しました。
楽しかったこと
3年間のオンライン留学の末、2023年6月、やっと日本から上海へ飛び立てた時は感動で胸がいっぱいでした(T_T)
留学での楽しかった事は蘇州(そしゅう、江蘇省)、三亜(さんあ、海南省)への旅行、嘉年华 jiā nián huá(カーニバル)、过年夜 guò nián yè(年越しイベント)等のイベント…などなど沢山ありますが、やはり1番は友人達と過ごす毎日かなと思います。
(蘇州旅行の際に行った留園の様子)
私は学生寮に住んでおりますので、不便な事も多い一方、友人の部屋まですぐに行けるという最大のメリットがあります。
寮の同じ棟には同じく故郷を離れ勉学に励む外国人留学生、少し離れた別の棟には中国人学生たちが住んでいます。
ご飯を作ったから、通販で購入したお菓子が沢山届いたから、暇だから、様々な理由で友人の部屋にお呼ばれします。
部屋着で友人の作ったご飯を食べながらお互いの共通言語である中国語で眠くなるまで喋る。そんな時間が当たり前だけど、最もかけがえの無い時間だなあ、と大学四年生になった今になって感じる事が増えました。国籍問わず多くの素敵な友人に恵まれたのも中国語を学んだお陰だなあとしみじみ思います。
(友人達と夜ご飯の材料調達に行った際の様子)
辛かったこと
1番辛い事はやはり、大切な友人、家族と会いたい時に会えない事です。
友人や家族が大変な時に傍にいれない不甲斐なさ、自分が大変な時に母国語で自分の気持ちを表現できない心細さ、海外で生活する方は皆さん感じた事があると思います。
昨年とある日の朝、家族から1件のメールが届いていました。祖母に重大な病気が見つかったとの連絡でした。急を要さない為、すぐに帰国する必要はないが念の為伝えておくとの事でした。
当時私にとってとても救いだったのが傍に恋人がいた事です。
事情を説明すると「次の冬休みに一緒に帰っておばあちゃんや家族の皆に会いに行こう」と手を握りながら言ってくれました。恋人だけではなく、彼の家族や親戚みんなが外国人である私を暖かく迎えてくれます。日本にいる大切な友人や家族には中々会えませんが、中国にもとても大切な友人と“家族”ができた事が大きな救いです。
(春節の際に初めていただいた红包 hóng bāo=お年玉)
留学前後でやるべきこと
「留学したら自然と覚えるでしょ!」と言って留学前の学習をおざなりにする方もいらっしゃいますが、もし勉強に時間を割けるのであれば、最低でも文法や接続語(虽然~,但是~など)をできる限り覚えてから留学に臨むことをお勧めします。
折角中国で生活できる時間を日本でもできる勉強に割くよりも先生やクラスメイトとの交流、旅行や遊びなどの経験に割いた方が何倍も満足度が高く、語学の上達。
もし語学留学ができる期間が1年間ならば、中国の四季はそれぞれ1度ずつしか楽しめません。1年って意外と短いです。
(留学生活は1年があっという間に過ぎていく….)
中国は各都市での食べ物や建築などの特徴が大きく異なり、またそれぞれに違った魅力があります。
きっと中国を知れば知るほど国内あちこち旅行に行きたくなるはずです。そう考えただけで留学中に日本でもできる勉強をするなんて勿体無いと思いませんか?
留学に来たら学校での勉強はしっかりしつつ、現地の人と話して現地の方言を覚えてみたり、旅行をして旅行先の方言も覚えてみたり、同年代の中国人と友達になって中国の若者言葉を覚えてみたり、こうして様々な人と交流をしながら教科書に載っていない言葉も覚えていく、それこそ留学時にしかできない留学の醍醐味なのかなと思います。
(旅行の際に知り合った現地ご飯屋さんの店主)
中国語を勉強したから、中国に留学したからプラスになったこと
中国に留学してから素早く対応する力が磨かれました。私が留学していた大学は語学留学に来る留学生が多く、学校が様々な活動を開催し、学習の機会を設けてくれます。
ですが、個人によりフォーカスできる様、枠数がかなり限られており告知が出て数分で枠が埋まってしまう事も少なくありません。ですので、告知が出る前に自ら公式アカウントの記事を読む等して情報を先取りする力が求められます。
(中国には留学生が大手企業のインターンを探せる 实习僧 shí xí sēng というアプリがあります)
また、イベントでの通訳を頼まれる機会に恵まれたとしても、返信が遅ければ他の方にその役割が回ってしまう事も少なくありません。中国でチャンスを掴む為には実力と同じくらい返信の速さも重要なのです。
中国の友人とWechat上でやり取りをしていると秒単位で返事が返ってくる為、時に驚かされます。しかし、急用の場合に中々連絡がつかない、という事もないのでかなり助かります。
こういった個人個人の対応の速さこそ中国の急速な経済成長の鍵でもあるのではないのかな、と日々感じています。ですので、最近では私もなるべく早い対応を心がけ、1つ1つのチャンスを逃さない様努めています。
中国で暮らすことのメリット(日本と比べてこんなところが良い!メディアが伝えないリアルな声)
中国で生活を始めて最初に思ったことは「とにかく便利!!」です。中国に来てから中国は世界規模で見てもインターネット技術がかなり発達しており、またそれが国民にかなり浸透しているという事を深く実感しました。
日本でもQR決済などの電子決済が普及していますが、中国では現金を持ち歩く必要が全くない程にQR決済が普及しています
タクシー乗車、デリバリー、ショッピングなども全てアプリで行い、中国のタクシーは目的地と現在地を設定した数秒後には配車され、デリバリーではご飯だけでなく日用品や化粧品、お薬までもが平均30分程度、早い時は10分程度で届けてもらえます。中国での生活があまりにも便利すぎて日本に帰国した際にこれらのサービスが恋しくてたまりませんでした。
↓深圳ではドローンのデリバリーがニュースになりましたね↓
また、価格も日本に比べて非常に低く、タクシーは20km乗っても2千円ほど、デリバリーも安いものだと1食400円ほどで食事ができます。日本と比較して費用対効果がかなり大きく、生活の便利さ、満足度共にとても高いです。
さらにこれも有名な話だとは思いまうが、中国では新鮮なフルーツが安く購入できます。大学近くの果物屋さんでは毎日新鮮なフルーツを量り売りしています。私は自分で皮を剥くのが面倒なので、可能なものはカットしてもらって購入しています。夏休みにはカットされたスイカ500g程度を約150円で毎日購入していました。
(現地果物屋さんの様子)
将来やってみたい仕事
通訳に携わる仕事をして言語の壁をなくせる様に奉仕していきたい、と常に考えています。ですが、そこに至るきっかけは前述したので通訳のお仕事以外で挙げるとすると、最近はブログ執筆にも興味があります。
というのも、中国語学習がきっかけで中国のSNSや動画サイト、具体的には小红书(RED)やBili Biliを見る様になり、中国のブロガーの皆さんに感化された事が大きな要因の1つです。中国SNSに投稿されている作品はどれもとても作り込まれていて見始めると止まらなくなってしまいます。
特に、小红书(RED)は私のような日本人留学生アカウントもたくさんあり、フォロワー数も1万人を超える人もいてビックリしました。
(小红书(RED)では投稿を頑張っている日本人留学生も数多くいます)
副業として楽しみつつブロガーを続けている方も少なくない為、私も同じような形で挑戦してみたいなと考えています。例えば、夏に三亜へ旅行した際にゴミの落ちていないビーチや海、空の綺麗さだけでなく、現地のご飯屋さんの店主の暖かさにも感動し、日本の方々にもこういった中国のリアルをシェアしたいと強く思いました。
それから、日本文化が大好きな中国人は若い世代だけでなく、中年層にも多くいらっしゃいます。現に私が大学でお世話になっている教授が日本がとてもお好きで、日本へ旅行に行った際のお話をしてくれたり、日本の文化をよく尋ねられたりします。私が中国を好きであるように、日本を好いていてくれる中国の方も多くいらっしゃいます。
ですので、中国での生活や旅行を記録すると同時に日本の生活も記録して中国の方のリアルな反響を日本の方に知っていただきたいです。そうして、日中両国のリアルをお互いの国にシェアすると同時に、両国の友好関係の促進に貢献したいなと思っています。
(三亜旅行にて)
最後に一言
留学をするまではSNSに触れることもありませんでしたが、勉強目的で触れたことがきっかけで新しいスキルを身につけ、新しい目標が生まれました。
SNSやブログ、今回の体験談も含めて、文字や映像を使って情報発信するというのは、最初に私が考えていた不安な方に寄り添うというテーマと重なるものがあると感じています。
これから皆さんとはどこか別の形でお会いすることになるかもしれませんが、その時にもし悩まれていることがあれば、是非お話を聞かせて頂ければ嬉しいです!!
今人生を悩まれている方、特に20-30代でこれから全く違うステージでステップアップしたい方は、一度日本から離れて海外で頑張ってみる、というのも選択肢の1つとして考えてみてはいかがでしょうか?
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