前回の続きです。長崎玄弥(故人)の「読むだけで上達する奇跡の英会話」の内容をシリーズで取上げます。この本は既に絶版となってはいますが、英語の大家であった長崎玄弥氏のエッセンスが凝縮されており、未だに役に立つ本です。実際、何度も繰り返し読むことで、その後の仕事や、外国人と話をする場面で、本書に記載されていた表現や発想に助けられる場面に多く遭遇しました。最も重要な部分について、何回かに分けて掲載をさせて頂きたいと思います。
【英会話には大きく2つの壁が存在する】
英語に会議らずどんな語学でもそうですが、一通り言いたいことが言えるようになると、会話がどんどん弾んできます。その分、相手からのツッコミや質問も高度になって来ます。英会話を途切れさすことなく続けるには、間合いを取ることが大切です。しかし、本格的に英語を話すようになると、大きく2つの壁にぶつかります。一つは日本的な曖昧な表現です。英語にあるストレートな表現だけでは、何となく自分が表現したいこととは違うし。。。と適切な英語表現がなかなか浮かび出てこず、一瞬頭が真っ白になった経験をした方は少なくないかもしれません。もう一つが、会話の間合いを取るためのつなぎ言葉です。上掲書の素晴らしさは、こうした痒い所に手が届く表現を集中的に載せている点です。
今回は、上掲書P162~から見ていきましょう。
(23)言い換えれば
The lake is hopelessly polluted. In other words, it’s a dead lake.(その湖はどうしようもない程汚染されているのです。言い換えれば、死んだ湖です。)
To put it differently, という言い方もあります。説明不足だったかな?と思う時、使ってみましょう。
(24)・・・の場合には
In the event that an earthquake occurs, you should not take the elevator.(地震が起きた時には、エレベーターには乗らないことです。)
in the event that…は日本語の「・・・のあかつきには」に似た表現で、「もし・・・が起きた時には」の意味で使ってみると便利です。
(25)・・・の点では
Design-wise, I like this dress. But economy-wise, it’s beyond my reach.(デザインの点では、このドレス気に入った。でも値段の点で、とても私の手には届かないわ。)
history-wise(歴史の点では)、price-wise(価格の点では)、distance-wise(距離の点では)等、何でも-wiseを付けると、viewpoint(視点)の意味に変えることが出来ます。
(26)この点では
S city has a small population, but the number of people under 30 is great. In this respect, S city offers a good market for your products.(S市は人口は少ないのですが、30歳未満の若者が多くいます。この点で、S市は貴社の製品の良い市場でしょう。)
英語は日本語に比べると、文と文を結び付ける息抜きのような語句は少ないのですが、それでも話を系統立てるためには、このin this respectのようなつなぎの言葉が必要な時があります。
勿論、次のようにもっと正式の表現の方が望ましい場合もあります。
economically, in terms of economy, from an economic viewpoint
(27)あらゆる点で
“John is superior to me in every respect” “Oh, that’s not true.”(「ジョンは、あらゆる点で渡しより上だ」「そんなことはないでしょう」)
このin every respectという表現はin this respectの変形として活用して欲しいものです。
(28)・・・に関して
As regards safety, this model is so adjusted that it can’t go faster than 350 kilometers per hour.(安全性について言えば、この機種は350km以上のスピードが出ないようになっています。)
「・・・に関して」を意味する語句は、about, concerning, touching upon, regarding, in respect to, with respect to, with regard to, in regard to, as regards, pertaining to, in connection with, as to, as forと数え上げるときりがない程ですが、よく使うのでいくつか覚えておくと便利です。
(29)伝えられるところによれば
Reprtedly, the harbor people are so upset about the nuclear-powered carrier, the XXX, coming in that…(伝えられるところによると、港の住民は原子力空母XXXの入港に非常にショックを受けており。。。)
文頭にreportedlyを付ければ、これから話す内容は自分で確かめたわけではなく、うわさだということが相手にも分かります。
(30)私としては
Personally, I prefer seaside resorts.(私としては、海辺の保養地の方が好きだ。)
Personallyはas for me, for my partでも置き換え可能です。
(31)広く認められているように
Admittedly, Japanese rice tastes better than California rice, but(日本の米は、カリフォルニア米より味がいいことは広く認めらている所ですが。。。)
副詞は、1語でいろな意味を伝えることができ、便利なもの。Admittedlyと切り出せば、以下は大方の人に認めている事柄だということになります。
(32)逆に言えば その反対に
B city has become rich because of the Shinkansen, Conversely, C city’s economy has declined.(新幹線のお陰でB市は豊かになった。その反対にC市は寂れてしまった。)
Converselyは、ちょっと気取った単語ですが、スピーチや会議の席上で使うと貫禄がつきます。他には、whileやwhereasを使っても、対象の含みを持たせることが出来ます。