前回の続きです。長崎玄弥(故人)の「読むだけで上達する奇跡の英会話」の内容をシリーズで取上げます。この本は既に絶版となってはいますが、英語の大家であった長崎玄弥氏のエッセンスが凝縮されており、未だに役に立つ本です。実際、何度も繰り返し読むことで、その後の仕事や、外国人と話をする場面で、本書に記載されていた表現や発想に助けられる場面に多く遭遇しました。最も重要な部分について、何回かに分けて掲載をさせて頂きたいと思います。

 

【英会話には大きく2つの壁が存在する】

 

英語に会議らずどんな語学でもそうですが、一通り言いたいことが言えるようになると、会話がどんどん弾んできます。その分、相手からのツッコミや質問も高度になって来ます。英会話を途切れさすことなく続けるには、間合いを取ることが大切です。しかし、本格的に英語を話すようになると、大きく2つの壁にぶつかります。一つは日本的な曖昧な表現です。英語にあるストレートな表現だけでは、何となく自分が表現したいこととは違うし。。。と適切な英語表現がなかなか浮かび出てこず、一瞬頭が真っ白になった経験をした方は少なくないかもしれません。もう一つが、会話の間合いを取るためのつなぎ言葉です。上掲書の素晴らしさは、こうした痒い所に手が届く表現を集中的に載せている点です。

 

今回は、上掲書P166~から見ていきましょう。

 

(33)即答はできかねます。

 

“Would you tell me the size of the cosmetics market in Osaka?” ” I can’t answer offhand, but I guess…”(「大阪の化粧品市場の規模はどの位ですか?」「さあ、即答は出来ませんが、恐らく。。。」)

ビジネスの場で、即答出来ない質問を受けることはよくあります。そんな時、I can’t answer offhandは便利な表現。

 

(34)少し考えさせて下さい

“We’d like you to start working for us tomorrow. if you can.” “Let me think it over“(「できたら明日から勤めて頂いてもよろしいんですよ」「ちょっと考えさせて下さい。」)

Let me sleep on it「一晩考えさせて下さい」もよく用いるイディオム。勿論、I’d like to….またはMay I…?の方が、ずっと丁寧になります。

 

(35)弱りましたな

 

“What’s the matter?” “I guess I’m stuck.” I’ ve lost my credit card.”(「どうしたの?」「弱った。クレジットカードをなくしちゃった。」)

抜き差しならない状態の時、I’m stuck.を使うとピッタリ。車がぬかるみにはまって、動かなくなった時もWe’re stuck.と言えばOKです。

 

(36)考えがまとまらない

 

I don’t know what to say. I’m stuck.” “Why don’t  you take a break?”(「考えがまとまらないわ。お手上げよ。」「少し休憩ししたらどうだい?」)

英語を話していて、ぐっとつまってしまうことがよくありますが、そこで黙りこまないで何か言い続けるのが肝心です。

I can’t think of the right  word in English.とかHow do you say…?と言うことも出来ます。要は、相手に「何故、あなたが困っているのか」を伝えることなのです。

 

(37)要するに、手短に

 

In brief, it’s a rather conservative market, in which anything out of the ordinary is eyed with suspicion.(要するに、そこはやや保守的な市場で、変わったものは何でも疑問視されます。)

説明がくどく成り過ぎたなと思った時など、このin brief は便利な表現。口語表現としてはin a nutshellという言い方もあります。

 

(38)結局・・・ということになる。

 

The city official’s remarks boil down to this…(市の職員の言い分は、結局、こういうことである。)

boil down toは「煮詰まる」という意味で、例文の次に、結論の内容を述べればよいのです。

 

(39)長い目で見れば、結局は

 

Your idea of setting up a shop near the station may not work out in the long run.(駅のそばに店を出すという君の計画は、長期的に見れば、うまく行かないかもしれない。)

反対の「短期的には」はin the short runと言いますから、これも覚えておきましょう。

 

(40)・・・した方がよろしいのでは

 

You might try a little exercise before break fast, such as a walk around your neighborhood.(朝食前に、近所を一回りするとかの適度な運動をした方がよろしいのでは。)

「・・・した方が良い」はhad betterと覚える人が多いでしょうが、この表現は少し押しつけがましく聞こえます。might as well としてもよいのですが、これはmightよりややはっきり勧めているというニュアンスがあります。

 

(41)勧められる、得策である。

 

It isn’t advisable to go to that place after eight at night.(あの場所へは夜の8時以降には行かない方が良いですよ。)

同義語にrecommendableやdesirableがありますが、日本人が意外に使い忘れているのがこのadvisableです。

「・・・した方が良い」もhad betterの代わりにIt’s advisable for you to….を使って表現出来ます。

 

(42)・・・ではないですか?

 

This bread is a little stale, isn’ it?(このパン、少しカビ臭くない?)

イントネーションを、isn’t it?(↘)と下げると「・・・ですよね?」と念を押す意味になる。反対にisn’t it?(↗)と上げると、単なる問いかけになる。

 

(43)出来ればいいのだけど。。。

 

“Take a look at this! This coat is only 20 dollars. Why don’t you get it?” “Wish I could“(「ねえ、見て見て。このコートたった20ドルよ。買えばいいのに。」「ウーン、買いたいのだけど。」)

日常会話に頻繁に用いられるWish I could.は「残念だけど行けないな。」「くやしいけど、お金の持ち合わせがなくって。。。」といった場合に活用出来ます。これをI’m sorry I can’t goとかI have no money.とか言ってしまうのが平均的日本人です。

 

(44)・・・がありそう

 

It’s likely  more tourists will go to the States this summer.(今年の夏は、恐らくもっとたくさの観光客がアメリカへ行くだろう。)

可能性の有無について言いたい時はよくある。そういう時、likelyは反意語のunlikelyと並んで、とても便利。

most likelyと、副詞mostを付け加えると、可能性が大きくなります。

 

(45)・・・してもまずだめだ

 

It’s no use taking  your TV set to the States. You can’t  tune it in to the local stations there.(君のテレビをアメリカに持って位っても無駄だ。チャンネルが合わないから。)

高校時代に散々学んだ動名詞の特別用法の一つですが、テキストに出ていた例文はあまりにも非現実的で使えません。こういった例文で覚えた方が、実生活ですんなり使えます。

 

(46)初めて

 

Anna said she ate raw fish for the first time(アンナは、生の魚を初めて食べたと言っていたよ。)

誰にも「初めて」おいう経験があるもの。このfor the first timeは絶対に役に立ちます。second, thirdと言い換えれば、2度目3度目のように応用が効くのですから。

 

(47)・・・するのを目的として

 

I’m heading for Scotland for the purpose of settling a customer’s claim.(クレーム処理のために、スコットランドへ行きます。)

目的を表すもっとも簡単な方法は、不定詞のtoを用いることですが、この表現もよく使われます。

 

(48)・・・するのを期待して

 

I sayed in Hollywood for a week, in the hope of meeting some movie stars.(映画スターに会えたらいいなと思って、ハリウッドに一週間滞在した。)

hopeの内容をもっと詳しく表現したい時には、in the hope (in hope) that…として、that以下に文を持ってくればOKです。

 

(49)絶対必要なもの

 

If you go to Kyoto, a camera is a must.(京都へ行くならカメラは必需品だよ。)

a mustはやたらと便利な言葉で、It’s a mustという形で、規則は勿論、絶対お勧めの名所、名物、レストラン等、何に対しても使うことが出来ます。

 

(50)(今問題になっている事柄の)好例

 

Some birds and animals are in danger of extinction due to environmental problems. The Japanese crested ibis is a case in point.(環境汚染で一部の鳥獣の絶滅の危機が叫ばれているが、トキは好例である。)

公害の話をしていたら、水俣病は、a case in pointとなり、性病の恐怖がトピックならAIDSは、a case in pointになります。

 

 

 

 

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