すったもんだの米国TikTok事業:マイクロソフト(柔らかソフト)からオラクル(ご神託)へと思ったら甲骨文字?

さて、米中関係については、もう目まぐるしくて追い切れない程の情報が飛び込んで来ます。終盤に差し掛かる米国大統領選、コロナ、米中貿易戦争(その一環として)TikTok(ショート動画配信アプリ)とWechat対トランプ政権との紛争があるのですが「先日は米オラクル、米ウォルマートとの技術提携案が9/19にトランプ大統領の「原則承認」を受けた」とのニュースが飛び込んで来たかと思いきや、支配権をどちらが握るのかを巡って双方の主張が二転三転、更に、米国による(証拠もないのに一方的な)配信停止は違法だと、TikTokの親会社のバイトダンスが(Wechatの方についてはそのユーザーが主体となって)米国政府を提訴するといった、混沌とした状況が続いています。本ブログは中国語学習者の為のブログなので、資本関係や判決の詳しい解説とかは他の記事に譲るとして、ちょっとユニークな報道があったのでご紹介したいと思います。

 

ご存じのとおり、中国は漢字で固有名詞も含めて表記をしている国です。外国企業の中国語名で有名な例としては、マクドナルド(麦当劳màidāngláo)、マイクロソフト(微软wēi ruǎn)、コカコーラ(可口可乐kěkǒukělè)、ソニー(索尼suǒní)があります。

 

この辺りは比較的定番なので、中国語の初級者向けの参考書や単語集にも記載されているのを見たことがあるのではないでしょうか?IT業界に詳しい人ならオラクルの名前ぐらいは聞いたことがあると思いますが、その中国語名となるとまず耳にすることはないでしょう。オラクル(Oracle=ご神託)だからそれとも想像がつかない「甲骨文(jiǎgǔwén」なんだとか。理由は、以下の記事に記載されている通り、「中国進出の際、英語の意味をベースに「占いに使われた古代文字→甲骨文」と連想を膨らませ現地用の社名に取ったようだ。」とのことです。(ちなみに、TikTokは英語のtick tock《時計の音》カチカチを違う形で表記したもの。中国では抖音dǒuyīnとして海外のショート動画とは切り分けて展開)。親会社のバイトダンスは何となく踊る感じがすると思いますが、元々の中国語の社名も中々活かしています!中国語名は字节跳动zìjiétiàodòngで、文字通り躍動感がありますね。一方、ウォルマート(Walmart; 沃尔玛wò ěr mǎ)のように、音訳を当てたパターンもあります。

こうした固有名詞については、辞書の付録の他、各種の単語集にも掲載されていますので、一度確認してみることをお奨めします。

 

※ご関心のある方は学習効果が高い中国語教材おすすめランキング:単語集篇 日常生活に必要な実用的単語集と検定試験用の単語集は分けて選ぼう!HSK 中国語検定 日常生活がキーワードをご参照下さい。

 

※英中辞典を調べてみると、甲骨文の英訳がストレートに”oracle script”とあるので、左程飛躍した社名ではないのではないかと思われます。日本では甲骨文字は歴史教科書に登場するもので、確かに占いや神事との絡みはあるものの、どちらかと言うと漢字の起源として捉えているのではないでしょうか?参考記事:甲骨文字 世界史の窓

 

※英中辞典は日本人の中国語学習者にとって入れておくと便利なツールです。詳細は、学習効果が高い中国語辞書アプリおすすめランキング:中国語学習で迷ったらこれを買おう!本気で学ぶ人のための有料辞書アプリ篇。繁体字も英語も同時に勉強しよう!をご参照下さい。

 

以下に記事を紹介します。よく纏まっていると思います。

 

なぜオラクル社が「甲骨文」?ユニクロからコカ・コーラまで中国語オモシロ社名表記のなぞ

 

ナゾの米国企業「甲骨文」の正体

 

このところ注目されている中国発アプリTikTokの米国事業をめぐる問題。当然中国でも大きく報じられているのだが、中国メディアのニュースサイトをチェックしているとこんな見出しが飛び込んできた。「“甲骨文”がTikTokと協議」―歴史の授業で習ったあの「甲骨文字」?カメの甲羅や動物の骨に掘られた現存最古の漢字のこと?!

 

TikTokのニュースに関心がある方はピンと来るかもしれないが、この「甲骨文」とはアメリカのIT大手「オラクル」社のこと。Oracleという英語は「神のお告げ」と言う意味だ。中国進出の際、英語の意味をベースに「占いに使われた古代文字→甲骨文」と連想を膨らませ現地用の社名に取ったようだ。

 

こんな古めかしい名前の会社が、若者に人気のアプリの運営に関わることになれば、ちょっと面白い気がする。ちなみにオラクルと並んで買収協議の相手方として名前が挙がった米マイクロソフトの中国名は「微軟」。こちらは微=マイクロ、軟=ソフトというド直訳だ。(ちなみに中国語で「ソフトウェア」は「軟件」と言う)

 

どうやって漢字表記?海外企業のあの手この手

 

カタカナのような表音文字はなく、原則すべて漢字で固有名詞を表現する中国。漢字文化圏である日本の企業の場合、トヨタ自動車が「豊田汽車」(発音はトヨタではなくフォンティエン。汽車は自動車の意味)など、比較的すんなり中国語名にできる場合も多い。

一方欧米などの企業は巨大市場で受け入れられるよう中国語名に様々な工夫を凝らしていて、その手法は大きく2つのパターンに分けられる。

 

“直訳・意訳”パターン

 

まずは同じ意味の漢字に置き換える“直訳・意訳”パターン。中国文化に当てはめて“超訳”した「甲骨文」はかなり異色だが、前出の「微軟」(マイクロソフト)のほか、アップルの「苹果」(リンゴの意味)あたりが代表格だろうか。

GE(ゼネラルエレクトリック)やGM(ゼネラルモーターズ)の「ゼネラル」は広く使われるという意味の「通用」と訳され、それぞれ「通用電気」「通用汽車」の名前で定着している。

ドイツ語で「国民車」を意味する「フォルクスワーゲン」の中国語名はズバリ「大衆汽車」なのだが、その名の通り中国市場に広く浸透し中国での新車販売台数のシェア1位を誇る。この中国市場での大成功が、いまドイツと中国の距離感を難しくしている要因でもあるのだが…。

 

“音訳”パターン

 

もう一つのパターンが、原語の音に合わせて漢字をつける“音訳”だ。「麦当労」(マイダンラオ→マクドナルド)、「索尼」(スオニー→ソニー)など多数あるが、漢字の選び方にひとひねりしているものも多い。

有名なのがコカ・コーラだ。1920年代の中国初進出時「蝌蝌啃蝋」(クークーカンラー)という字を当てたのだが、オタマジャクシ(蝌蚪)がロウソクをかじる(啃蝋)、というような怪しげな意味に取られたのがよくなかったのかさっぱり売れなかった。

それが「可口可楽」(クーコウクール―)―「可口」(おいしい)「可楽」(楽しい)―に改名するなり大ヒットしたという。日本のユニクロは中国本土に700店以上を展開しているのだが、「優衣庫」(ヨウイークー)という、いかにもいい服が見つかりそうなネーミングも成功に寄与していそうだ。

 

ハイブリッド版

 

音と意味の2つのパターンのハイブリッド版というのもあって、スターバックスは「星巴克」(シンバーク―)と、「スター」は直訳、「バックス」は音訳だ。ちなみにスターバックスの名前の由来は、メルヴィルの小説「白鯨」に登場するコーヒー好きの航海士「スターバック(Starbuck)」と、シアトルの南西部に位置するレーニア山の鉱石採掘場「スターボ(Starbo)」から取られたというが、中国語名にはこの点は全く反映されていない。

一方、音訳タイプではあるが語感を重視しすぎ?とも思えてしまうのが「ピザハット」。中国語名は「必勝客」(ビーシャンクー)で、なんだか強そうで勢いがある字の並びではあるが、ピザ(中国語では比薩、ビーサー)や小屋(ピザハットのハットはhat=帽子ではなくてhut=小屋だそうだ)とは意味も発音もずいぶん違う。英語のロゴと漢字のロゴが並んでいても違和感がないのだろうか。

いずれにしても、海外の企業が中国の消費者へのウケを強く意識して、ローカル化を図ってきたことがよくわかる。

 

中国包囲網強化でオモシロ中国語名は―?

 

さて、「甲骨文」と提携協議を進めているTikTokだが、開発元の中国企業の社名は「字節跳動」で、海外用の社名はこれを意訳した「バイトダンス」。アプリの名前は中国国内ではTikTokではなく「抖音」(ドウイン、音楽用語の「ビブラート」の意味)と使い分けている。米中対立のさなかトランプ政権に目をつけられると、バイトダンスは「TikTokとドウインは別物だ」として安全性を強調していた(実際TikTokは競合サービスを買収・統合した経緯があり、ドウインとは一部機能が異なる)。

 

今後さらに中国包囲網が強まれば、グローバル企業のビジネス展開にも大きな影響が出るし、中国で外資企業が敵視されるケースも増えるかもしれない。もし今後、中国向けと海外でまったく違う名前にしたほうが有利だとなって、工夫をこらした絶妙な中国語名を目にする機会が減ってしまうと、少し寂しい気もするが…。

 

出典:FNNプライムオンライン 

 

 

最後に、中国語を全く初めて学習するという方は学習効果が高いおすすめ中国語教材ランキング:評判の教材を徹底比較!初級・中級者篇:ユニークかつ評判のお奨め教材上位5つをご紹介。もう教材選びで絶対迷わない!でご紹介した教材等をご確認下さい。本記事が皆様の中国語学習の一助になれば幸いです。

 

 

 

 

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