日本に居る中国人同士のネットワークが凄いらしい:台風や災害への備えもみんなでシェア
ダイヤモンドオンラインに興味深い記事が載っていましたので、ご紹介したいと思います。チャイナウォッチャーの中島 恵 氏による俊逸なレポートです。日本には既に76万人(2018年末、総務省の統計)もの中国人が滞在しているとのことで(これは既に県の人口で言えば徳島県を抜いて福井県(約78万人)に迫る勢いです。百万人ぐらいはすぐに超えることでしょう。)彼ら独自の強力なネットワークがあって、微博(Weibo),微信(Wechat)といった中国人の間でメジャーなSNSを通じて連絡を取り合うことで、今回の台風19号の際にも、その警戒と準備について詳しい情報が彼らの間で豊富に出回った、ということがレポートされています。記事で紹介された、一般社団法人「華人時代」というのは、在日中国人最大のネットワークで、7万人もの会員がいるそうです。その他、今回の台風については様々な報道がありましたので、参考までにタイトルとリンクを以下に貼付します。
・中国人が日本の台風19号の災害情報に強い関心を示した理由 ダイヤモンドオンライン 2019.10.30 5:20
・過去最大級の台風が上陸目前。在日中国人たちが共有する独自の情報ネットワークとは ヤフーニュース10/11(金) 17:02
・中国駆逐艦「太原」の台風19号お見舞いに反響 AFPBB News 2019年10月18日 20:00
(中国語原文は「太原舰打出中日文横幅慰问遭遇强台风“海贝思”袭击的日本灾民」 人民网2019年10月14日15:01を参照)
・避難所や近所で言葉が通じない外国人がいたら、使える多言語会話ツール5つ 台風19号で被災した方に言葉が通じない外国人がいたら、避難所などで使える多言語会話ツールを紹介します。BuzzFeed News 2019/10/13 11:31
さて、本ブログは語学を学ぶことを第一の目的としておりますので、早速これらの記事から、台風への備えに関する中国語を抜き出したいと思います。災害の時は何よりも(自分の出身国の)ネイティブ言語での情報があると、不安感が和らぐものです。これ程の数の中国の方がいる訳ですから、普段から災害に関連した中国語をピックアップして勉強しておくと、もしもの時に中国語ネイティブの外国人の方への支援に役に立つかもしれません。以下のダイヤモンドオンラインの記事の文中にある中国語にピンインも付けましたので、しっかりと発音と意味が分かるまで自分で朗読するなり、黙読するなりしてみましょう。また、分からない箇所は辞書を引くようにしましょう。以前、北海道胆振東部地震が発生した際に、「旅のゆびさし会話帳」の災害用バージョン(英語、中国語(簡体字、繁体字)、韓国語、日本語、タガログ語、タイ語、スペイン語、ポルトガル語、インドネシア語、フィリピン語で提供)について記事で触れていますので、関心のある方はこちらも是非ご一読下さい。
※以下の文章に出てくる単語は全て生活単語であり、必須として覚えておくべきものばかりです。
例:自来水、晾衣杆、衣架、面巾纸、饼干、方便米饭: 水道水、物干し竿、ハンガー、紙タオル、ビスケット、インスタントご飯
以下、ダイヤモンドオンライン「在日中国人組織で日本最大規模の「華人時代」とは?台風19号情報でも存在感」から、まず先に災害に役に立つ中国語を転載。(日本語とピンインは本ブログ運営者による加筆)
jiāng páishuǐgōu hé páishuǐ kǒu qīnglǐ gānjìng , bǎozhèng páishuǐ tōngchàng ; jiāng yǒu kěnéng bèi fēng chuīzǒu de wùpǐn gùdìng hǎo , huò yídào shìnèi ( pénzāi 、 liàngyīgān 、 yījià děng ); zuò hǎo wūdǐng 、 wéiqiáng de jiǎnchá hé jiāgù ;
wūnèi zhǔnbèi
wèi fángzhǐ tíng shuǐ dàilái shēnghuó bùbiàn , kě zài yùgāng fàng mǎn zìláishuǐ bèiyòng ;
zhǔnbèi 3 tiān de fángzāi shípǐn ( bǐnggān 、 fāngbiàn mǐfàn 、 qiǎokèlì 、 miàn bāo děng )
zhǔnbèi hǎo|hào zúgòu de cèzhǐ 、 miàn jīn zhǐ 、 huǒchái
在日中国人組織で日本最大規模の「華人時代」とは?台風19号情報でも存在感
中国の存在感に比例するように、在日中国人の存在感も高まっている。彼らは中国発のSNS、ウィーチャットを駆使してさまざまな活動や交流を行っているが、その実態は日本人にはほとんど伝わってきていない。日本に住む彼らは、一体どんな情報を共有したり、発信したりしているのだろうか。日本最大級の在日中国人コミュニティーの代表に話を聞いた。(ジャーナリスト 中島 恵)
日本に住む中国人の約7分の1以上が参加
「イベントは大小合わせて年間60~70回くらい行っています。料理会、ハイキング、お花見、小旅行などのほか、中国関係のイベントにも参加。小さいイベントは30~40人、大きいイベントは100人単位で開催しています。9月には東京・代々木公園で、中国駐日本国大使館などが主催する大規模な『チャイナフェスティバル2019』が開催されたのですが、それにも参加しました。活動をやりやすくするため、2018年1月には一般社団法人となり、日本の組織や団体との交流も行っています」
こう語るのは一般社団法人「華人時代」会長の呉洲氏(37歳)だ。呉氏は吉林省出身。中国の大学で出会った日本語教師の影響を受けて日本に興味を持ち、来日して筑波大学大学院で学んだ。現在はIT関係の仕事をしているが、そのかたわらで中国人同士の集まりを主催するようになった。
「今、日本には大勢の中国人が住んでいますが、日本にいるのに、なかなか日本人の友だちができなかったり、中国人の友だちも皆忙しくて会う機会がなかったりと、さみしいと思っている人がけっこう多いと思います。また、日本についての情報にも偏りや誤解があったりします。そこで小さな集まりを企画するようになり、それが次第に大きくなっていきました」(呉氏)
「華人時代」の会員数は約9万8000人に上る。日本に住む中国人は約76万人(2018年末、総務省の統計)いるので、実にその約7分の1以上の人が参加しているという計算だ。つまり、「華人時代」は日本最大規模の中国人コミュニティだといえる。
会員の大半は中国人だが、中国語がわかる在日マレーシア人やシンガポール人、中国に関心が高い日本人もいる。東京だけでなく大阪や九州にも会員がいて、年齢は10代後半から40代が中心だ。留学生やビジネスパーソン、企業経営者など職業は多岐にわたっている。拙著『日本の「中国人」社会』でも取り上げたが、日本政府のデータによると、在日中国人は20~30代が中心で、全体の60%を占める。やや女性が多いという傾向があるが、「華人時代」の会員の特徴もそれとほぼ合致している。「華人時代」という名称は、読みやすい4文字で、広い意味での華人と、自分たちの時代という意味を込めて名づけたという。
運営している主要メンバーは約100人。会長の呉氏をはじめ、企業経営者、在日中国系企業の社員、日本企業の社員などがいる。何かあるごとに不定期に集まり、今後の方針や活動計画を話し合っているという。
企画しているのは、料理会などのイベントや交流会、日中のメディア情報の提供、ビザや在留資格に関する情報や相談、アルバイト、就職、ビジネス、医療、不動産に関する情報など。外部組織や日本企業との連携もあるが、社団法人でもあり、活動は利益が発生しないものだ。会員の中には行政書士や人事・法務に詳しい専門家もおり、会員同士、互いに相談に乗っているという。
台風19号では日本語を翻訳してSNSで発信
情報の発信はすべてSNSだ。ウィーチャットの公式アカウント(公衆号[ゴンジョンハオ])を持ち、そこに中国の情報や、日本語メディアからの翻訳情報を日々発信している。また、ウィーチャット内のグループ(朋友圏)、ウェイボー、フェイスブック、ツイッターなどでも情報を発信したり、相互にシェアしたりしている。「華人時代」から派生したグループは50にも上る。ウェイボーのフォロワーは約12万人。多くの日本人もアクセスしやすいよう、11月末までに公式ホームページも開設する予定だ。
私がこの組織の存在を知ったのも、10月中旬に関東地方を襲った台風19号のときに流れてきた記事がきっかけだった。ウィーチャットを見ていたところ、中国人の友人のひとりが「超級台風互助群」というグループの情報をシェアしていたのをたまたま目にしたのだ。
過去最大級といわれる猛烈な台風の最中、日本に住む外国人に適切な情報が届いているのかどうか心配されたが、日本人のSNSと同様、在日中国人のウィーチャットでも台風の進路情報や危険地域、注意事項などが多数シェアされていた。その1つがこちらの画像で、中国語で詳細な情報がひとまとめになっていた。
「台風の最中、一人暮らしで心細かったり、日本語が得意ではなかったりする中国人が困っているのではないかと思い立ち、台風が関東を直撃する前日のお昼ごろに急きょ新しいグループを作成しました」(呉氏)
「(10月)11日に立ち上げましたが、台風が迫ってきた12日のお昼ごろになると、メンバーが約3000人にまで膨れ上がったので、日本語の台風情報を翻訳してSNSに流しました。その情報があちこちに拡散されたことで、より多くの在日中国人の役に立てたようです」(呉氏)
「超級台風互助群」の記事にはコメントがつけられるようになっているが、私が見た記事の読者数は約6000人で、コメント欄には「日本の無事を祈る!」「食料と水を確保しましょう」「困ったときには日本の警察を頼りましょう」などと書かれていた。
在日中国人の中には、中国に住む家族からの問い合わせや心配の声も多数届いたが、そんなときにも、同グループの情報があることで心強く、状況が的確に判断できたようだ。むろん、日本人の配偶者がいたり、日本のテレビやネットから直接情報を得ていた人も多かったと思うが、中国人同士のコミュニティーからの情報も得ることで、より安心感が増したといえる。
「日本とのつながり」をもっと重視していきたい
こうした活動を行う一方で、彼らは今後、「日本とのつながり」をもっと重視していきたいと話す。社団法人化したこともあり、以前から日中友好団体などとの交流の機会も持っているが、台風19号の被災者に対して何かできないかと思い、募金活動を開始した。
「中国人が多い東京・池袋や埼玉県川口市の中華料理店に募金箱を置かせてもらったり、グループチャットなどでも募金を呼び掛けたりしており、募金のための専用口座も設けました。また、『華人時代』として長野市に義援金を送金することになりました」(会員の佐藤雅之氏)。
中国の老舗の中国料理店であり、東京・池袋に支店がある「東来順」とも協力し、「華人時代」に一定の義援金を出した人は、同店で使えるクーポンを発行するという新しい試みも行った。呉氏によると、在日中国系企業も何か日本で社会貢献を行いたいという意思があり、目的が一致したという。
「在日中国人の多くは日本が好きで日本にやってきて、日本に愛着の気持ちを持っています。だから、中国人だけで集まるのではなく、もっと日本人と交流したり、日本社会に貢献したいと思っています。台風の被害は残念な出来事でしたが、こうしたことをきっかけに、在日中国人がもっと日本社会を理解できればいいし、お互いにもっと協力し合えることがあればいいと思います」と呉氏は話す。
私は以前、中国や日本に住む中国人の有志が熊本の大震災の際に寄付したことをこちらの記事(ダイヤモンド・オンライン「熊本地震に中国人の反応がかつてなく同情的な理由」)で紹介したことがあったが、あれから3年がたち、日本の中にはさらに数多くの中国人コミュニティーが出来上がり、それぞれがネットでつながり、その年齢層、職業はますます多様化してきている。
日本人が気づかないうちに大きな変貌を遂げている在日中国人社会――。その人口は、冒頭で記したように約76万人に達し、一都道府県と同じだけの規模になっており、日本社会にもさまざまな方面で影響を与え始めている。
一定以上の年齢の日本人が思い浮かべる“中国人像”は今もステレオタイプのままで昔とあまり変わらないが、現実はすでに様変わりしている。20~30代の若い世代を中心に、日本社会に溶け込もうとする中国の若者世代がこれほど能動的に動き、日本に熱い関心を寄せているのだ。
以上