今回から数回、まさに神速の如く中国語を習得できる勉強法を紹介します。第1回は、単語の覚え方です。
中国語学習を始める前に、まず皆さんに遵守していただきたい3つの大原則を紹介します。
(1) ノートに書いて徹底的に覚える
新出単語や代表的な文型は、必ず「読む」と同時に「書いて」覚えましょう。ただ視覚に頼るよりも、「書く」という行為によって脳が活発に動くことになり、自然と集中力が上がって暗記効率もアップします。
(2) 発音を恥ずかしがらない。
きちっと声に出さなければ、外国語がペラペラになることは不可能ですよね?大声が出せない環境では、イヤホンを装着してブツブツ言うだけでも反響して自分の声が聞こえてくるので、とにかく声出ししてみましょう!
(3) メモをとって一つずつ解決する
「これはどういえばいいんだろう?」と思ったらすぐさまメモをして調べる準備をしておく。日々、『問題→解決』を積み重ねて中国語を自分のものにしていきましょう。
※スマホのメモだけでは記憶に定着しにくいですから、後で必ず3回以上は手書きをしましょう。
以上を肝に銘じて、早速具体的な暗記方法について見ていきましょう!!
中国語は、漢字一語一語に意味によって異なる発音記号=ピンインが振られます。中国語の発音の最大の特徴は、『声調(せいちょう)』と呼ばれる音節の高低があることです。
中国語の声調は、大きく分けて5つありますが、特徴的な4つの声調を『四声(しせい)』といいます。
ここでは、妈(ma)の一文字を例に実際の発音を見てみましょう。
・第一声 mā 音を高く維持しながら、平らかに伸ばす。
・第二声 má 音の出だしを低くし、音を一気に引き上げる。
・第三声 mǎ 音を低く抑えてから、少し引き上げる。
・第四声 mà 音の出だしを高くし、音を一気に引き下げる。
・軽声(けいせい) 前の音節の後に軽く短く添えて発音する。軽声には声調符号がつかない。
・妈妈 mā ma 第一声+軽声
・爷爷 yé ye 第二声+軽声
・奶奶 naǐ nai 第三声+軽声
・爸爸 bà ba 第四声+軽声
多くの人はこの発音を覚える段階で気合を入れすぎるあまり、
「マー、マーってなんだよ?!もう意味わからん!!」
となり、何が何だかわからないうちに挫折してしまいます。ですが、思い出してください。我々日本人には・・・
『漢字』の読み書きをする言語が母語である
・・・という最大の強みがあるのです。日本語の日常レベルで使用する漢字は約3000字程度、中国語の通用規範漢字表も同じく約3000字程度。ご存知の通り日本語と中国語は共通する漢字も多い。
我々日本人は、学習を始める前から非漢字圏の国の人達が四苦八苦する『漢字を覚える』という最難関を最初からクリアしているのです。であるならば、その強みを存分に活かそうではありませんか!!
中国語を覚える第一歩、それは・・・・
メモライジング(読んで書いて覚え込む)です。
これはどういうことかというと、従来の中国語の暗記方法は・・・・
- 発音を覚える
- 漢字を覚える
- ピンイン・声調を覚える
- 意味を覚える
- 定着!
というように、発音・漢字・ピンイン・声調・意味をバラバラに覚えるものです。
この勉強法は、英語のように一文字=意味も一つという言語であればまだ有効かもしれません。
ですが、中国語のように一文字に複数の読み方・意味がある言語では、それぞれの要素が体系的に結びつく実感が湧きにくく、かえって非効率です。
そのため、メモライジング(読んで書いて覚え込む)では・・・・・
- 漢字・ピンイン・声調・発音・意味を同時に覚える
- 定着!!
・・・という暗記をします。これならば、読み・書き・理解の三拍子+発音を一度に習得できるので一単語ごとでもより効率よく習得できます。漢字を自由自在に使いこなせる日本人ならではの勉強法と言えるでしょう。
ではメモライジングには具体的に何をすればいいのかというと・・・
「漢字の意味」に着目しながら基本に忠実に単語や文法についてテキストの内容を調べ、そして「読んで」「書いて」覚える。
え、そんなフツーで悠長なことしていていいの?
・・・いいんです!!いいんですよそれで!!
※中国語学習を始めたばかりの段階では、やたらと高度なテクニックにこだわってはいけません※
繰り返しますが、最初はとにかくオーソドックスに読み・書き・理解の三拍子をきちんと把握することを意識しましょう。基本的にはテキストの内容に沿って学習を進めますが、疑問を感じた部分には、辞書ツールやネット等を駆使して、背景知識まで深めていきましょう。
しかしそれだけでは単調で飽きてしまうし、知らない単語なんて無限に出てくるし(T_T)
という場合は、単語の覚え方についてもう一工夫してみましょう。
マインドマップとは、イギリスの教育コンサルタント トニー・ブザン氏が考案したブレインストーミングの方法で、頭の中で考えていることを、ある一つの大きなテーマを中心に、放射状にキーワードやイメージを繋げることで、思考を体系的に展開することを目的としています。
勉強のみならず、仕事・家庭・健康管理などの様々な場面で使えることから、欧米諸国のみならず、日本や中国でも各所で取り入れられています。
かつて、東大受験攻略法で話題になった『ドラゴン桜』では「メモリーツリー」という名前で紹介されましたが、これも同様の理論に基づいた暗記方法ですね。
(詳細は『ドラゴン桜』第7巻 講談社,2005年。62限目「阿院の物理」 63限目「東大医学部生のノート」 64限目「メモリーツリー」を参照)
もちろん、中国語学習においてもその相性は抜群で、あの膨大な漢字の量から生み出される単語を体系的に覚える際にその真価を発揮します!!
普通、単語を覚えると言うと・・・・
(運営者自作の単語ノートより)
・・・この単語ノートのように、一段もしくは二段列の単語の集団がズラーーッと並んでいて、それを前のページからせっせと暗記していく作業のことを指すでしょう。
このような、いわゆる「気合いだ!」「根性だ!」というタイプの暗記方法も、基礎が全くない状態からのスタートでは避けては通れない場合も確かにあります。
ですが、このような箇条書きの形では、中心となる重要なモノと重要でない副次的なもの、もっと単純に言えば、『暗記するべき優先度がわかりにくい』『まとまりがない』ものを端から端まで見ていくことになり・・・
異なる性質の単語を整理もせずに無造作に脳内に放り込んでいる
状態を誘発してしまうのです。
ですが、中国語の単語を短時間でより多く覚えるには、マインドマップを使うことでその効率が飛躍的にアップします。
例えば、中国語の動詞・形容詞は、その大半が一字もしくは二字のものに分類できますが(稀に三字がある)、一字、二字に関わらず、同じ文字を含む動詞・形容詞はしばしば似たような意味・用法で使われる傾向が特に強いのです。
なので、基本単語を覚える時、またはテキストを読み進めて新出単語が出た時には、最初から関連単語までまとめて覚えてしまいましょう!!
(二字の動詞・形容詞は、一字のそれ以上に決まった意味・用法で使われる傾向が強いので、さらに覚えやすいです。)
今回は、中国語の基本となる動詞を例に、運営者が中国語学習を始めたばかりの頃に、『ドラゴン桜』の「メモリーツリー」を真似て作ってみたマインドマップを例に見ていきましょう。
(運営者自筆の『中国語動詞マインドマップ』下書きより)
マインドマップは、上図のように一見すれば雑然としているように見えます。
しかし、実際は中央に置かれたキーワードやイメージ(セントラル・イメージ)を中心に、大→小という法則に従って一つ一つの項目が中央から伸びる線(ブランチ)によって有機的に繋がる構造になっているのです。
上の『中国語動詞マインドマップ』では、下記のように『动词 dòng cí(動詞)』をテーマとして、それぞれ基本単語である・・・
是 shi(be動詞)、干 gàn(do) 、做 zuò(do) 、用 yòng(使う) 、开 kāi(開く)、教 jiāo(教える)、走 zǒu(歩く)、看 kàn(見る)、读 dú(読む)、写 xiě(書く)、说 shuō(言う)
をメイン項目(基本アイディア)に設定。
そしてそこからさらに脳内のニューロンのように細かく枝分かれしたサブ項目(サブ・ブランチ)が無限に広がっていく・・・
例)做 zuò(do)···做人 zuò rén(世渡りをする),做工 zuò gōng(肉体労働をする),做客 zuò kè(人を訪問する)
····做饭 zuò fàn(料理をする),做官 zuò guān(役人になる)
このように、一字動詞→二字動詞=大→小という体系的な流れに従って、マインドマップは完成されるのです。
トニー・ブザンによれば、マインドマップは、以下9つの要素を完全に満たしているものを指します。
- 明確なテーマがあるか『軸の決定』
- そのテーマはセントラル・イメージに表されているか
- 中央から放射状に広がる図か
- 「一つのブランチに1語」が守られているか
- イメージが使われているか
- 全体に色が使われているか
- 見やすくわかりやすいか
- 自然で有機的な外見か
- 視覚に強く訴えるか
(トニー・ブザン『マインドマップ 最強の教科書 脳の可能性を引き出す実践的思考術』 第3章 「本物ではないマインドマップの見分け方」 マインドマップのチェックリストより)
この中で特に注目すべきは(6)(7)(9)で、マインドマップは「書く」だけでなく、「見る」ことも意識して作成しなくてはなりません。
これは、脳科学で「書く」という動作に代表される『言語・分析(論理的)』を司る左脳と、「見る」という動作に代表される『イメージ・視覚・知覚(創造的)』を司る右脳の両方を働かせる全脳思考によって、脳が視覚・知覚・触覚のいずれかのみに頼るよりも相乗効果でより効率よく暗記ができるからです。
そのため、マインドマップは『絵』を活用することが必須です。
もう一度よくご覧ください。このマインドマップでは、それぞれの一字の基本単語の横に、例えば开 kāi(開く)であればドアの絵を書く、看 kàn(見る)であれば目を強調した顔の絵を書く・・・というように、文字がなくとも語呂合わせや絵によるイメージで記憶を強固にすることも意識しています。
「書く」ことの重要性は、作業の形式は違えども、最初に紹介したメモライジング(読んで書いて覚え込む)の発想と根本は同じです。
最も、上のマインドマップは下書きのため、カラーはついていません。ですが、これを要素ごとに色分けすることによって、よりカラフルで見やすいマインドマップを作成することができますね。
私のマインドマップは・・・・・まだまだですね(T_T)
手書きのいいところは、思いついたことをすぐさま体系的にまとめることが可能なこと。ですがその反面、紙面の限界によって、「ああ、前に作ったやつに追加したいなあ・・・」「あれ、もしかしたらこれ間違ってるんじゃないの?」といったタイプの修正に対応するのが困難です。
こんな時、どうしよう・・・・・?
そこで頼りになるのが、マインドマップ作成アプリです。マインドマップに関しては、現在まで数多くのアプリがありますが、最も使い勝手がいいのは、何と言ってもトニー・ブザン監修のマインドマップ公式アプリ 『iMindMap』です。
以下は運営者がマインドマップを使用して、上の『中国語動詞マインドマップ』を整理し直してみたものです。
(トニー・ブザン監修のマインドマップ公式アプリ iMindMap より作成)
iMindMapは現在バージョン11が最新版で、無料版と2つの有料版プラン(プロ版とアルティメット版)があります(運営者は迷わずアルティメット版を購入👍)。
手書きなんてアナログな方法、面倒だ!という人は、最初からアプリを使って単語を覚えてみてもいいでしょう。
アプリの場合、多少操作に習熟する必要がありますが、アプリが自動で色分けしてくれるので慣れれば自然とカラフルな図が出来上がり、後になってミスや追加に気づいた場合も好きなタイミングで修正できるので心配無用。紙と違って無限にマインドマップを拡大することも可能です。
(教 jiāo(教える)とその子項目のピンインが変化している(jiào)のに気づいたので、注意書きを追加)
マインドマップ自体はやや特殊なブレインストーミングの方法であるため、最初のうちはなかなか思ったような美しいマインドマップが作れないかもしれません。
でも、結局は自分が暗記するためのノート。下手くそであることを恐れず、どんどん自分が読んでいて暗記が楽しくなるようなマインドマップを作っていきましょう。
そして、マインドマップも暗記カードと同じ、1度作ったらそれで終わりではありません。人間の脳は覚えたばかりのことでさえ1時間もすれば半分は忘れてしまうように出来ています(短期記憶)。ですので、新しく暗記をする1回目は決して丸暗記しようと思わず、理解することに比重を置きましょう。
最初に作ったマインドマップを見ながら、白紙にまた同じものを書いて覚えるのも有効な手段です。そうしてその日に2回、翌朝に同じ内容を3、4回・・・と繰り返し何度でも暗記することで、徐々に暗記漏れと暗記にかける時間が減少し、やがて確実に記憶が定着していくのです(長期記憶)。
後でマインドマップの練習しとこうっと・・・・・汗
さて、ここまで紹介してきたのはゼロからイチにしていく暗記方法、あるいは0.5(曖昧な記憶)を1に定着させていく暗記方法でした。
では、最後にその段階さえもクリアして、早く実践的に使いたい、となった時には、どのようにして単語を自分の血肉にしていけばいいでしょうか?
それは、会話や読解、作文などで実際に覚えたはずの単語をどんどん生活の中で使っていくことです。
例えば、
朝起きたらご飯を食べよう→吃饭 chī fàn
ご飯を食べたら本を読む→看书 kàn shū
・・・というように、日常生活に常に中国語を主体的に活用していきましょう。少しずつ中国語が馴染んできたら、頭の中で簡単な文章を中国語に言い換えていきましょう。
今日はラーメンを食べる→我今天吃拉面。 wǒ jīn tiān chī lā miàn.
パソコンを使う→我用电脑。 wǒ yòng diàn nǎo.
このように、早くに定着させた単語をそのままにせず活用する場を与えることで、早くから『中国語脳』が形成されていきます。そしてやがて意識せずともスラスラと口から必要な単語が出てくるようになります。この段階を、脳科学用語でオートマティック(無意識に反応できる)と言います。
すると脳が『中国語が必要だ!』と感知し、どんどん単語が早く覚えられるようになり、ひいては中国語そのもののレベルもどんどん上がっていくという相乗効果を得られるのです。
(暗記の鉄のサイクル!!)
- まとめ
今回紹介した勉強法は、全て『主体的に手と口を動かすこと』『バラバラではなく体系的に知識を繋げていくこと』を一番大切にしています。
皆さんが普段仕事や家事をしている時も、偏った情報・知識のみで進めていては上手くいくものも上手くいかないですよね?
たかが単語1つとっても、勉強法を少し工夫するだけで、あっという間に10~20の単語を覚えてしまうことができる。それが中国語の面白さでもあるのです。
皆さんも、単語を深く理解しながらどんどん知識を関連付けていきましょう!!
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