今回は、中国語の単位について取上げたニュースを素材として、単位について勉強していきたいと思います。一般の教科書や教材に記載されているような重さや面積の単位だけでなく、新聞やニュースを聞く際にも参考になるよう、普段専門家や関心のある方でない限りあまり話題にもならない、電力の単位、田んぼの面積、極大、極小の単位や核兵器の威力の単位の話題について取上げました。ちなみに、こうした単位に関する情報は、重要な知識であるにも関わらず、辞書にあまり載っていないようですので、電力の単位ぐらいはもう少し一般向けの中日・日中辞典にも載せて欲しいものだと思います。(英語でも理系と文系の間で同じような問題が起きているようですが。。。)

 

まずは予備知識

 

まずは、中国語以前に、普段意識することがない、電力の単位に関する予備知識を記します。記事を読む上で役に立つと思いますので。

 

ワット(W)、キロワット(kW)、メガワット(MW)、ギガワット(GW)の関係
1kW=1,000W
1MW=1,000kW
→1MW=1000kW=1,000,000W
1GW=1,000MW=1,000,000kW=1,000,000,000W

 

少し分かり易くカタカナも交えて書くと、
1ギガワット=1,000メガワット=100万キロワット=10億ワット
(小さい単位から順番に、ゼロを3つ足すと大きい単位になる。)

 

次いで、面積の単位について

 

1アール(a)=10m×10m=100㎡
1ヘクタール(ha)=100m×100m=10000㎡=100a

 

 

<コラム>ニュース中国語事始め=「チョー危なかった」話…中国で用いられる単位について 2019/1/25 レコードチャイナ

https://www.recordchina.co.jp/b679995-s111-c30-d1111.html

 

(以下転載)

 

記事を書く上で、もちろんミスは許されないことです。ミスの中でも、特に「悪質」とされるのが、固有名詞と数字の間違いです。ところが、中国語の数字を扱っていると、言葉の知識がなく、なまじ漢字の知識があるばかりに「チョー危ない」勘違いをしてしまう場合があるのです。

まず、度量衡の単位ですが中国語でも基本的にメートル法を採用しています。ただ、中国語の場合、漢字で表記されることが違います。日本でもメートルを「米」と書きますが、どちらかと言えば、こういった漢字表記は例外になってしまいました。

メートル法などで使われる単位を簡単に列記しましょう。長さとしては、<米 mi3>(メートル)、<公里 gong1li3>(キロメートル)、<厘米 li2mi3>(センチメートル)、<毫米 hao2mi3>(ミリメートル)などがあります。

面積としては<平方米 ping2fang1mi3>(平方メートル)、<平方厘米>(平方センチメートル)があります。「平方キロメートル」は<平方千米 ping2fang1 qian1mi3>です。それ以外にも、耕作地などで使われる<畝 mu3>もあります。<畝>は古くから使われてきた面積の単位で、<1畝>の広さは時代によって異なります。中華人民共和国になってから、<1畝>=「6.6666+2/3アール」と定められました。実際には<1畝>=「1/15ヘクタール」とした方が、楽に計算できます。

なお、<100畝>=<1頃 yi1 qing3>の式で定義される<頃>という面積の単位もあるのですが、あまり使われません。一方で、<公頃 gong1qing3>(ヘクタール)はよく使われます。逆に、中国独自の<畝>がよく使われる一方で、<公畝 gong1mu3>(アール)はさほど使われません。

体積/容積としては<立方米 li4fang1mi3>(立方メートル)、<公升 gong1sheng1>(リットル)などがあります。<公升>は<升>と省略されることがよくあります。

質量(重量)の単位としてまず知っておくべきは<克 ke4>(グラム)、<公斤 gong1jin1>(キログラム)、<噸 dun1>(トン)などでしょうか。それから、日常生活では<市斤 shi4jin1>がよく使われます。<1市斤>=「500グラム」で、記事の中に<斤>という単位が使われていたら、この<市斤>の省略形です。<1市斤>の10分の1は<1市両 yi shi41liang3>です。<市両>は<両>と略されるのが一般的です。

<市斤>や<市両>は、野菜や肉などの量り売りでよく使われます。それから、飲食店の主食も<両>単位で量を具体的に指定して注文する場合が多くあります。米飯の<2両 er4liang3>は普通盛りかそれよりやや多いぐらい、<3両 san1 liang3>ともなれば、完全に「大盛り」です。

さて、産業関連の記事には、電力の単位である<瓦 wa3>(ワット)がよく出てきます。「キロワット」は<千瓦 qian1wa3>です。「キロ」の語源はギリシャ語で1000を意味する「キリオイ」だそうですから、<千瓦>と意訳して中国語での単位としたわけです。例えば、中国語で<5千瓦>とされていたら「5キロワット」と訳さねばなりません。もっとも、「5000ワット」としても間違いではありませんが。

私がまだ駆け出しも駆け出しの時ですが、<1兆瓦 yi1 zhao4 wa3>といった中国語に出くわしました。「1ワットの1兆倍」かなと思ったのですが、なんかいやな予感がした。そこで、辞書を引いてみた。いや、驚きましたね。<1兆瓦>は「1ワットの1兆倍」ではなかった。「1メガワット」、つまり1ワットの100万倍でした。それこそ、「ケタ違い」です。思わず「チョー危なかった」という文句が脳裏を横切りました。無知とは恐ろしいものです。

日本語で「1兆」と言えば1億の1万倍ですよね。1の後に0が12個続く数字です。ところが、現代中国語では数字として「兆」という言い方をほとんどしないのです。例えば「5兆円」だったら<5万億日元 wu3 wan4yi4 ri4yuan2>のように表現します。<兆>という文字から具体的な数字としての感覚が薄れてしまった一方で、「大きな数を表す」というイメージは残っているので<兆瓦>という言い方にも抵抗がなかったのでしょうか。ちなみに台湾では<百万瓦>という言い方をします。「1メガワット」は中国大陸部では<1兆瓦>、台湾では<1百万瓦>です。

なお、電力量としてよく使われる「キロワット時」は正式には<千瓦・時 qian1wa3shi2>または<千瓦小時 qian1wa3xiao3shi2>ですが、ニュース記事を含めて一般的には<度 du4>と呼ばれています。電気や電力を扱う記事に<5度>という表現があったら「5キロワット時」を意味します。

<兆>が「メガ」の意で使われるのは電力関係だけではありません。核兵器の威力を示す「メガトン」は<兆噸TNT zhao4dun1 TNT>です。「メガトン」とは、高性能火薬であるTNTの量に換算して爆発力を示す単位です。日本では単に「メガトン」などと言う場合もありますが、中国語では<兆噸TNT>と、<TNT>をつけて表現するのが一般的です。

それから、情報量の単位の「バイト」は中国語で<字節 zi4jie2>ですが、「キロバイト」なら<千字節 qian1zi4jie2>、「メガバイト」なら<兆字節 zhao4zi4jie2>です。<兆(メガ)>以上に大きい単位の場合、音訳が使われます。例えば、<3太拉字節 san1 tai4la1 ji2zi4jie2>(3テラバイト)のようにです。小さい単位にも音訳が多く使われます。例をいくつかをご紹介いたしましょう。

 

大きい単位を表すのに使う言葉
<吉>または<吉[口加] ji2ka1>…ギガ(10の9乗)
<太>または<太拉 tai4la1>…テラ(10の12乗、台湾ではこの「テラ」に<兆>を使う)
<拍>または<拍它 pai1ta1>…ペタ(10の15乗)

 

小きい単位を表すのに使う言葉
<微 wei1>…マイクロ(10の6乗分の1)
<納>または<納諾 na4nuo4>…ナノ(10の9乗分の1)
<皮>または<皮可 pi2ke3>…ピコ(10の12乗分の1)

 

ピンインの表記について:本コラムでは中国語を<>の中に、日本語の常用漢字の字体で表示しています。以下の部分のピンインについては、ローマ字表記の直後に声調を算用数字で添えます。軽声は0とします。 u の上に2つの点を添えるピンインには v を用います(例:東西=dong1xi0、婦女=fu4nv3)。

 

(転載以上)

 

記事をまとめると、兆の単位はあまり中国では使われないということが分かります。折角ですので、他の単位もピンインの声調符号付で纏めておきたいと思います。

 

長さの単位

 

メートル=米 mǐ、
キロメートル= 公里 gōnglǐ、
センチメートル=厘米 límǐ
毫米= háomǐ

 

重さの単位

 

グラム=克 kè
キログラム=公斤 gōngjīn
トン=噸 dūn

 

日常生活では市斤 shìjīn
記事の中に「斤」という単位が使われていたら、1市斤のこと。(「500グラムで、市斤の省略形)
1市斤の10分の1が1市両 yi shì1liǎng。
市両は両と略されるのが一般的。

 

両について

 

野菜や肉などの量り売りで使用。
飲食店の普通盛り(少し多いぐらいらしい)。例:米飯の 2両 èrliǎng
完全に大盛り=3両 sān liǎng

 

長さの単位

 

メートル=米 mǐ
キロメートル=公里 gōnglǐ
センチメートル=厘米 límǐ
ミリメートル=毫米 háomǐ

 

面積の単位

 

平方メートル=平方米 píngfāngmǐ
平方センチメートル=平方厘米
平方キロメートル=平方千米 píngfāng qiānmǐ

 

耕作地でよく使われる単位

 

畝 mǔ
1畝=6.6666+2/3アール
1畝=「1/15ヘクタール」
100畝=1頃 yī qǐng
(「」という面積の単位はあまり使われない。ヘクタール(ha)=公頃 gōngqǐngはよく使われる。畝がよく使われる一方で、1アール(a)=公畝 gōngmǔはさほど使われない。)

 

体積・容積の単位

 

立方メートル=立方米 lìfāngmǐ
リットル=公升 gōngshēng
(公升は升と省略されることが多い)

 

大きい単位を表すのに使う言葉

 

ギガ=吉加 jí jiā
(10の9乗)
テラ=太または太拉 tàilā
(10の12乗、台湾ではこの「テラ」に<兆>を使う)
ペタ=拍または拍它 pāitā
(10の15乗)

 

小きい単位を表すのに使う言葉

 

マイクロ=微 wēi
(10の6乗分の1)
ナノ=納または納諾 nànuò
(10の9乗分の1)
ピコ=皮または皮可 píkě
(10の12乗分の1)

 

核爆弾の爆発力を表す単位

 

メガトン=兆噸TNT zhàodūn TNT
(核兵器の爆発力については、日本では単に「メガトン」と表記するが、中国語では「兆噸TNT」で、後ろに「TNT」を付ける。TNT=一般にはTNT火薬のこと。核兵器の破壊力をTNTの質量に置き換えて換算するのに使用される。)

 

情報量の単位

 

バイト=字節 zìjié
キロバイト=千字節 qiānzìjié
メガバイト=兆字節 zhàozìjié
(メガ以上に大きい単位の場合、音訳が使われる。例:3テラバイト=3太拉字節 sān tàilā jízìjié)

 

電力の単位

 

正式には、時間当たりなので千瓦时千瓦小时となり、ニュースでは「度dù」を使う。

 

1kW(千瓦特)=1,000W瓦
1MW(兆瓦特)=1,000kW
→1MW=1000kW=1,000,000W(※台湾では百万瓦)
1GW千兆瓦=1,000MW=1,000,000kW=1,000,000,000W(10亿瓦特)

 

W—瓦特、KW—千瓦、MW—兆瓦
GW—吉瓦、TW—太瓦

 

用电量(度)=功率(千瓦)×使用时间(小时)

1度=1千瓦·时,一个功率为1千瓦的用电器连续工作1小时消耗的电量为1度。
计算公式为:用电量(度)=功率(千瓦)×使用时间(小时)

 

※解説:電力量=仕事率×使用時間という意味。

仕事/時間=仕事率=電力(消費電力)

仕事=電力量
電力=仕事率

電力量=電力(仕事率)×時間

 

更に興味がある方のために、以下に物理の復習がてら、定義を記しておきます。

 

電圧、電流、ジュール、ジュールの法則、アンペア、ボルトの中国語はそれぞれ、
电压diàn yā ,电流 diànliú,焦耳 jiāoěr ,焦耳定律 jiāoěr dìnglǜ,安培 ānpéi ,伏特 fútè (伏 fú)

 

【電流】
電位の高い方(+)から低い方(-)へ流れる。大きさは、単位時間に単位断面を通過する電気量で単位はアンペア(A)。
【電圧】
二点間の電位の差。単位はボルト(V)。
【電力】
電流が単位時間(一秒間)にする仕事量。直流では電圧(V)と電流(A)の積に等しい。単位はワット(W)。
電力(W)=電圧(V)×電流(A)
【W(ワット)】
1Wは1秒間に1ジュールの仕事をする仕事率。1ボルトの電位差のある二点間を1アンペアの電流が流れる時1秒間に消費される電力。

1W(1秒あたりの仕事率) = 1J(仕事量)/s(時間:秒)
1W(電力) = 1A(電流)×1V(電圧)

 

以上、これで単位に関する知識と、普段あまり電力等の単位について意識したことがない方にとっても、まとめになるように記載をしてみました。皆様の中国語学習のお役に立てれば幸いです。

 

 

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