「通訳は誰でもなれる」――“総理の通訳”の言葉で、私の通訳戦略を再定義した話

元総理通訳に学ぶ、語学で “仕事ができる人” になるための最強戦略。改めて認識:「通訳は誰でもなれる!!」

先日、ビジネス映像メディアPIVOTで公開された『“総理の通訳”が語る できる人の英語』を視聴しました。

講師は元外務省で総理・外相の通訳を務められた黒川公晴氏。

「雲の上の人の話」かと思いきや、語られた内容は私自身の通訳戦略や、日頃感じていることと驚くほど合致しており、首がもげるほど頷きながら視聴しました。

結論から言うと、完全同感。
そして改めて確信したのは――
👉 通訳は、誰でもなれる。

本記事では、動画の要点と、私自身の現場経験を踏まえた考察をまとめました。

 

講師・黒川公晴氏とは何者か

黒川公晴氏は、元外務省所属で首相・外相の英語通訳を務め、外交官としてワシントンDC、イスラエル/パレスチナに駐在。日米の通商協議、日本のアートプロモーション等を担当された、プロ中のプロです。

2018年に独立以降、ファシリテーターとして企業の人材・組織開発を支援。事業開発、自立型組織作り、ビジョンバリュー策定、 紛争解決等のサポートをされています。

(Xの黒川氏のアカウントより)

私とは比べ物にならない所謂「エリート通訳」ですが、その語り口は驚くほど現実的で、安易な精神論に逃げません。

特に印象的だったのは、
「通訳は特別な才能の仕事ではない」
という一貫した姿勢だ。

本気で通訳を目指すなら「最初から上級」を見ろ

黒川氏のメッセージで、最も刺さったのがこれ。

本気で通訳になりたいなら、最初から上級レベルを目指すしかない。

✔「今の自分にできるかどうか」
✔「基礎からやらないと…」

こうした“安全運転思考”こそが、成長を遅らせます。

むしろ学習初期にこそ

「こんな通訳者になりたい」
「このレベルで仕事をしたい」

…という理想像(ロールモデル)を早く持つことが、学習効率を爆発的に高めます。

 

そして、黒川氏がさらなるポイントとして上げているのが、実践中にも学習的な観察力を持っておくことです。

 

これをより具体的なケースに置き換えると、

実際の通訳現場や外国語を使って簡単な道案内をしてあげた時、外国語の歌詞などを翻訳した際に、教科書で学んだ定型文や決まりきった表現では発話者の意図を100%正確に伝えきれない…というシーンに何度も遭遇するに違いありません。

その際に次の発話で何を補うべきか、次回の通訳では何を重点的に学ぶべきか、隣のネイティブの発話内容から何を吸収して自身のモノとするか…

等々、その場でワザを盗むという視点を持ちなさい、ということです。

 

学習はすべて「実践前提」でやれ

黒川氏は、日々の学習についても非常にシビアです。

✔シャドーイング
✔音読
✔要約
✔ノートテイク

これらすべては
👉 「実際の現場でどう使うか」を前提に設計されているか?
が問われます。

資料の読み込みや聴衆理解は大前提として、一番のポイントはゴール設定です。

 

このゴール設定について、以下に私の実戦経験を含めた要点をまとめてみました。

通訳実践のゴール設定
  • 今回自分が通訳をする目的は何か?
  • クライアントが何に満足すればゴールか?
  • そのために自分が事前に準備すべきは何か?

かくいう私も、2025年より会社の枠を飛び越えて個人で通訳の請負業務をすることがありますが、その際に私が実際に行ったケースに当てはめて上記の問いに答えてみましょう。

↓↓↓

通訳実践のゴール設定(実践ケースでは?)

Q:今回自分が通訳をする目的は何か?
A:中国企業とのやり取りで正確な価格交渉が必要、特に初めてのPO発行なので齟齬がしっかりと成立させたい

Q:クライアントが何に満足すればゴールか?
A:想定価格で利益率50%以上を確保したい、当該製品は絶対日本で売れると確信してるから!!

Q:そのために自分が事前に準備すべきは何か?
A:競合他社の状況、クライアントが心配している部分、PO発行を100%確実にするために営業的に必要な交渉方法をアドバイスするetc….

 

…とまあ、こんな風に単なる語学スキルだけでなく、クライアントが求める最重要課題を真っ先に把握した上で自身ができる最大限のパフォーマンスを発揮するように、事前にリサーチをしておくことが勝利をより確実なものにします!

そのためには、どれだけ小さなイベントでもいいから、実践の場には必ず主体的に参加して小さな経験値を積んでおくこと。

机上で完璧を目指すより、

 

✔失敗する
✔修正する
✔次で取り返す

 

このサイクルこそが、実践で使える通訳者へとあなたを育成します。

↓私の実際の通訳ケースはコチラから↓

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語学力だけでは戦えない。「三層モデル」を知れ

日本の語学教育の最大の欠点は、
単語や文法といった「語学スキル」ばかりを追い求め、
その背景にある「戦略」を無視していることです。

黒川氏が提唱する「現場で価値を生む英語力」は以下の三層構造になっています。

現場で価値を生む英語力
  • 語学スキル(基礎体力)
  • 実践スキル(現場での対応力、準備力)
  • 内面要素(気遣い、雰囲気作り、社会人としての器)

    一流の通訳者は、半径数メートル以内の空気感まで支配するといいます。

    語学が完璧でも、相手への気遣いやビジネスパーソンとしての振る舞いが欠けていれば、信頼は勝ち取れません。

    逆に言えば、「語学力はまあまあでも、実践スキルと内面でリカバリーは可能」ということ。

    これこそが、私が常々言っている「通訳への心理的ハードルを上げすぎるな」という真意です。

     

    勝負の8割は「準備」で決まる

    「通訳=その場で即座に訳す職人芸」だと思っていませんか?

    それは大きな間違いです。

    黒川氏も「勝負の8割は準備で決まる」と断言しています。

    今回の通訳(会議)は何を目的に行われるのか? ゴールはどこか?

    これを明確にするだけで、現場でのパフォーマンスは劇的に変わります。

    完璧な人間はいません。どんなプロでもミスはします。

    だからこそ、「事前の戦略」でリスクを最小限にし、成果を最大化するのです。

    これは通訳に限らず、すべてのビジネスに通じる鉄則です。

     

    語学力で本当の差が出るのは「50代以降」

    ここは、多くの人が誤解しているポイントだ。

    20~30代のうちは

    ✔目の前の業務
    ✔実務処理
    ✔社内調整

    …に追われ、語学力の“真価”に気づきにくい。

    しかし
    👉 管理職・経営層に到達した瞬間、視座が一気に変わります。

     

    管理職や経営層になった時、グローバルな視座で物事を捉え、相手の背景や文化まで深く理解して対話できるか。

    ここで「語学力の壁」にぶつかると、本来の実力が発揮できずに萎縮してしまいます。

    若い世代が近視眼的に「語学はコスパが悪い」と切り捨てるのは、あまりにも勿体ない投資判断だと言えるでしょう。

    積極的に外の世界へ出ていかなければ企業の存続も困難な今の時代では、
    語学力が無いとジワジワ淘汰されていく。

    残酷だが、厳しい現実です。

    (50代以降になると語学ができない人はできる人より年収300万円もの差が出る)

     

    中国語学習の世界に「戦略」はあるか?

    さて、ここからが私の専門領域の話です。

     

    英語業界には、今回のような「戦略」「脳科学」「立ち振る舞い」に立脚した優れたビジネス書や教材がまだ多くある、と言えるレベルです。

     

    しかし、中国語業界はどうでしょうか?

    単なる検定対策や、旅行会話レベルの教材は溢れていますが、「本気でビジネス(仕事)に使うこと」を想定し、通訳理論や戦略まで落とし込んだ教材は、今の日本にはほぼ皆無と言っていいでしょう。

     

    「俺以外はな❗️❗️」

     

    あえて強く言わせてください。

    私自身も含め、世の中の通訳者の多くは「ならざるを得なかった」人たちです。

    最初から完璧な理想像を持っていたわけではありません。

    だからこそ、表面的な語学スキルだけでなく、現場で戦うための「戦略」や「理論」が必要なのです。

     

    おわりに:理想像を見つけ、現場に出よう

    「あんな風になりたい」という理想像を早期に見つけること。

    そして、どれだけ小さな機会でも主体的に「実践の場」に飛び込むこと。これが上達への最短ルートです。

    通訳という仕事に、過度な幻想を抱く必要はありません。正しい戦略と準備があれば、誰でもその役割を担うことができます。

    ▼元動画はこちらから(PIVOT公式)“総理の通訳”が語る できる人の英語 

     

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